楽しいから続けられる
50歳を超えれば生きてきた時間も長くなり、表現者としても成熟しているはずです。私たち世代になるとハードルの高い挑戦の場は少なくなってくる。でも、今だからこそできる挑戦があるのです。人前で表現することを生業としているわけですから、常に自分を更新していかないと。いくつになっても成長できる環境に身を置いておくのは、必要ですよね。
2009年にバレリーナを引退してから、女優として仕事を重ねる中で、現場での体験から学んだことや、芝居や歌のレッスンを受けて身に付けてきたことがありました。何かを身に付けていくには努力や勉強が不可欠ですが、私はその姿勢をバレエを通じて身に付けてきたと思っています。バレエは技術がないと踊れませんし、さらに主役を踊るとなると、ほかの人より抜きん出た力が要求されます。当時の私が上を目指すには、克服しなければならないことばかりでした。最大限の努力をしてきたつもりですが、それが今の仕事にも生きていると思いうのです。
その根底にあるのは「楽しい」という気持ち。練習を積み重ねたり、勉強して知識を深めたりするのは、より深くバレエについて知る実感を伴うことでもあり、結局は、それが楽しかったんじゃないかと思うんです。大きな怪我もしましたし、精神的に大変な時期もありました。それらのすべては「やったことはすべて自分に返ってくる」と思えるポジティブな体験でした。夢を持ち、身近な目標設定をクリアしていくことで、そういった考えを身に付けられたと思っています。