小倉さんの個性が影響し、現場全体が和やかな雰囲気になっているという今回の舞台。いつもは緊張感を高めて仕事をしていた未唯mieさんが、あえてリラックスして臨もうと思えるのは、そんな小倉さんの人柄によるところが大きいそうだ。そうした今までにない雰囲気の現場で、女優として新しい経験ができているという。
新しい境地を見出せる予感
今回の舞台は女優としてというより、歌手としてコンサートに臨む時の感じに近いかもしれません。私は演じている時よりも歌っている時の自分のほうが、より素に近い自分を表現していると感じるんです。自分の想いを歌に乗せて発散できるというか、ありのままの自分を表現できている気がするんですね。
だから、『のるかそるか~SINK or SWIM!~』では、ヒロインとしての役柄も大事にしつつ、全身で素の自分を表現する感覚で演じられれば、主演の小倉さんとのコントラストができておもしろくなるんじゃないかって、思っています。そういう意味では本当に自分自身が女優としての新たな境地を見出せそうなので、お客様にも期待していただきたいし、私もとってもワクワクしていますね。
私は、たとえ困難な状況に陥っても、それを楽しみながら成長してきました。とにかく100%の自分を出しきれるように前だけを見て、乗り越えるべき壁に真摯に向き合ってきたんです。そうすることで、私自身どんどん変わることができたし、それを繰り返してきたからこそ、今の自分がある。そうやって思い描く理想の自分に近づいてきました。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」ということわざがあるが、「本当にその通りだと思う」と、未唯mieさんは語る。ピンク・レディーとして10代でデビューした当時は、落ち着いて何かを考える暇もないくらい、仕事に忙殺された毎日だった。そうした経験を経て現在の自分をつくりあげてきた胸中には、どんな想いがあったのだろうか。
理想に近づいている今の自分が最も幸せ
ピンク・レディーとしての活動で大きな成功ができたと思っているけど、栄誉みたいなことは、当時は全然感じなかったんです。きっとあの時の成功は、私たちを支えて世に出してくれた人たちの力によるものだったからなんでしょうね。たとえばそれは、作詞をしてくれた阿久悠先生や、作曲の都倉俊一先生方のこと。
だから、解散をした時に思ったのは、達成感を持って心から喜ぶためには、自分自身の想いなどを、もっと自分の力で発信していかないとダメなんじゃないかなっていうことでした。生きていると大変なこともたくさんあるけど、そういう時こそ、自分を成長させてくれるチャンス。そう思っていれば、マイナスになることなんて一つもないんですよね。乗り越えるべき壁に真摯に向き合うことで、私自身がどんどん変わることができたし、それを繰り返して理想に近づいてきた今の自分が、いつも一番幸せだって思っています。