◆個性が光る本格中華
知る人ぞ知る名店!
店名の「coQere」はラテン語で「料理人」を意味する
カウンター主体の店内。貸切などのパーティにも対応する
暑い日が続き、さっぱりしたものや冷たい麺ばかり食べていると、ちょっぴり刺激的な味が恋しくなりませんか? 今年2018年、注目されている“味”は、ずばり“麻辣(マーラー)”。“麻”は、山椒などのしびれる辛さ、“辣”はトウガラシなどの辛さを意味し、中国四川料理の特徴と言われます。特に、近年では“麻”への関心が高まっており、“マー活”という言葉が誕生しているほどの盛り上がりぶりです。
こうした流れもあり、山椒をきかせた新たなメニューを出す店や進化系中華料理店も増えている中、ブーム以前から多くの料理通をシビれさせている中華料理店があります。東急目黒線西小山駅から徒歩すぐ、商店街の一角にある「coQere(コクエレ)」。一見するとバーのような、いわゆる“町の中華屋”とは一線を画す佇まいで、登場する料理も他所では味わえないものばかりです。
本格四川料理をベースに独自のエッセンスをきかせた料理に合わせるのは、なんと、厳選した日本酒! 一般的にパンチの効いた味わいのイメージが強い中華と、和食によく合う日本酒という、意外なペアリングの妙をご紹介します。
◆油の一滴まで美味な
名物・麻婆豆腐
アメカジのテイストなど柘植和志オーナーのこだわりが詰めこまれた隠れ家感たっぷりの店内は、カウンター8席、テーブル6席という少人数制。リピーターが足しげく通う、予約必須の人気店です。多くの人が注文するのが、名物の「麻婆豆腐」。
とろける食感と、絶妙な甘味と辛味がたまらない麻婆豆腐
通常、木綿豆腐など固めの豆腐を使うことの多い麻婆豆腐ですが、滑らかな食感の絹豆腐を使っているのがcoQere流。あまりトロミをつけず、サラっと仕上げた餡と、とろける食感の豆腐が口の中で絶妙に絡み合う逸品です。味の要は、やはりなんといっても山椒の使い方でしょう。赤と青の2種類の山椒を粉と粒で使用するほか、油も自家製の山椒油。口に入れた瞬間に絹豆腐や油の甘味、ビリっとした山椒の風味や刺激が体を駆け抜けます。
このほか、豆板醤も2種類をブレンドして使用するなど、細やかな下ごしらえや調味料の工夫が満載のcoQere流・麻婆豆腐。ただ辛い・刺激的なだけではない深みのある味わいに、ご飯もお酒もいくらでも進んでしまいそうです。旨みも辛みもしっかり楽しめる麻婆豆腐には、「益荒男 山廃純米原酒 極」のような、どっしりと濃いめの一杯が好相性。「麻婆豆腐に合う日本酒」――というイメージが湧かなくとも、柘植オーナーに任せれば、こんな風に料理とベストマッチの日本酒を提案してくれるのでご安心を。酒の味をマイルドにすると言われる錫製のちろりとお猪口など、酒器にもぬかりがないのも見逃せません。
◆日本酒とのペアリングで
中華料理の新たな扉を開く
豚肉と生山椒のサラダは山椒のフレッシュな風味が決め手
本場四川で買い付けた山椒や、発酵唐辛子をはじめとした自家製の調味料などを使用するcoQereの料理。四川の伝統を押さえながらも、そこにとらわれすぎず、素材感を大切にする広東料理の要素も取り入れるなど、柘植オーナーが培った経験と確かな感覚が存分に活かされています。日本酒に関しても、料理とのバランスを考え抜かれたものがそろい、“中華料理×日本酒”の魅力にハマる人が後を絶ちません。
香りが食欲をそそる牛肉とクミン、満天星唐辛子の炒め物
例えば、豚肉と生山椒のサラダ「干拌菜(ガンバンツァイ)」には、キリリとした「春鹿 超辛口」を。塩漬けの赤豚にパクチーやネギ、キュウリのほか生の青山椒を和え、発酵唐辛子をきかせたサラダは、豚の旨味と野菜のフレッシュ感、清々しい辛味が心地いい一皿です。辛口の日本酒と相まって、箸を進めるごとに、夏の暑さに疲れた体をシャキッと引き締めてくれるよう。
また、牛肉とクミン、四川一辛いと言われる満天星唐辛子の炒め物「孜然牛肉(ズーランニュウロウ)」には、米の旨さを感じる「東鶴 純米酒」のような酒が意外にもマッチ。スパイシーなクミンの香りとレモンの爽やかな酸味と皮の苦みが牛肉の味をグッと引き立てる異国情緒たっぷりなこの料理と、日本酒らしい日本酒が合うことに、初心者はきっと驚くはず。
もちろん、日本酒や料理のラインナップは日によって異なるものも。だからこそ、ファンは何度も足を運びたくなるのかもしれません。人気店ゆえに、予約は必須。未知なる中華料理×日本酒の世界に惹かれた人は、ぜひcoQereで身も心もしびれるようなひと時を過ごしましょう。
coQere
〒152-0011 東京都目黒区原町1-16-17
TEL 03-6303-2543
営業 18:30~23:30(LO)、土日祝17:00~22:30(LO)
定休日 月曜(火曜臨時休業あり)
hhttp://www.coqere.com/