◆本来の走り方を取り戻させるシューズ
インスティンクトは今春の「ランナーズ・ワールド ベスト・デビュー」を受賞
秋、10月―― 今年もマラソンシーズンがやってきました。レースの開催情報をネットや雑誌でチェックしつつ、そろそろ練習を再開するつもりでウキウキしながら靴箱のシューズを出してみたら、なんとなく古ぼけて見えて、あんまりいい走りができなさそう・・・。せっかくのシーズンの始まりなのに、そんな気持ちを経験したことがあるランナーは多いはずです。
「今年はシューズを変えてみようかな。
でも、どれも似たり寄ったりだしなあ・・・」
そんな人にお勧めなのが、今回ご紹介するアメリカ発のシューズ 「ALTRA」 です。
靴が体に与える影響を直立姿勢で比較。
ハイヒールを履きなれていると体が歪む(右)
このアルトラ、日本に本格的に入ってきたのは、実は今年から。その最大の特長は 「ゼロドロップ」 にあります。
ゼロドロップは、長距離ランニング愛好者の悩みの種である踵や膝へのダメージ (ヒールストライク) を減少させるシステム。大半のシューズが靴底のヒール部分を分厚くし、クッション性を上げることでダメージ軽減を図るなか、ゼロドロップは 「ヒール部分とつま先部分のソールの厚みを同じにする」 というまったく新しい発想で、疲労やダメージの少ない自然な走り方をサポートします。従来の 「衝撃吸収のためのシューズ」 ではなく、「ヒト本来の走り方を再発見させるシューズ」―― それがALTRAなのです。
◆レコメンデッド・バイ・“ベアフット” テッド
そして、ヒト本来の走り方と聞いて 「ベアフットランニング」 をすぐに連想した人は、かなりコアなランナーかもしれません。ベアフットランニングとはその名の通り、裸足 (barefoot) で自然の野山を走ること。近年静かな人気を集めつつある超長距離のトレ-ルランニングでは、ヒールストライクにならないベアフット走法が主流です。ALTRAはそのベアフットランニングの第一人者、テッド・マクドナルド氏お墨付きのシューズなのです。2011年から始まった富士山麓160kmを走る 「UTMF (ウルトラ・トレイル・マウント・フジ)」 に招待参加したテッド氏に、ALTRAについて聞きました。
ベアフット・テッド氏。スタート10分前の表情
「裸足で走った経験がない人は、誰だって初めてのことにはそうだけど、いきなり素足で走ることに抵抗がある。そんな人たちの最初のプラクティスとして、ALTRAは最適だね。クッション性とかプロテクション性とかじゃなく、足を “平らに・広く” 使わせるっていう発想がいい」
「人間が進化の過程で多彩なフィーリングを持てるようになったのは、足のおかげなんだ。二足歩行するヒトにとって、自分がいまどんな地面の上に立ち、走っているかの情報を足裏からリアルタイムで得ることは、より良い動きをするために欠かせないのさ」
古ぼけたシューズに感じる不満・・・ それは実は、体が本能的に “本来の走り方” を取り戻したがっているのかもしれません。