B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

認知症カフェ事業を軸に 人と地域と社会を掬ぶ
musubi/GRAIN 代表 田中亜由美

※営業目的のお電話は固くお断りいたします。
 
glay-s1top.jpg
インタビュアー 畑山隆則(元ボクシング世界王者)
畑山 滋賀県大津市の、「ゆる~いつながり」を軸とした多様な人々が集うコミュニティ、musubi(むすび)さん。ホームページには、農業から介護までバラエティに富んだ活動内容が紹介されていて、興味深く拝見しました。
 
田中 musubiでは今、微生物のパワーを活かした「菌ちゃん農法」による農業、認知症カフェ事業などさまざまな社会活動をしています。そのほかGRAIN(グレイン)というデザイン会社では、クリエイティブなものづくりやイベント企画・運営などの事業を展開しています。実は私はかつて介護事業所に勤務した経験があり、介護や福祉事業にずっと関心を持ち続けていたんです。その後、子育てを経て家族との向き合い方に悩んだこともありました。そして母が認知症の状態になってしまい介護について悩みを抱える中、生きづらさを感じるようになったんです。皆誰しも一人で抱えきれない悩みや、モヤモヤした気持ちを持って生きています。そんな思いを打ち明けられるような、気楽に人とつながれる居場所が地域にあればと考えたのが、この事業を始めたきっかけです。
 
畑山 親が高齢になる私たちの世代にとって、介護は避けて通れない問題だと思います。とはいえ、認知症や介護の知識は少ないし、誰に聞けばいいのかもわかりません。まったくの手探り状態で急に取り組むことになるのは不安ですよね。
 
glay-s1top.jpg
田中 そういう方がほとんどだと思いますよ。そこで私たちは、介護や認知症への理解を深めるのはもちろん、誰もが自分らしく過ごせる居場所をつくりたいという思いから、大津市から委託事業として、認知症カフェ「ありのままカフェ」を手がけています。社会に生きる誰もが、“凸凹”を持っています。ミスもすれば、記憶が曖昧になることだってあるでしょう。でも、他の誰かの助け――、つながりがあれば、支え合って生きていける。そう思いませんか?
 
畑山 おっしゃる通りですね。多様性という言葉が浸透してきている一方、人と違うことや個性に向ける視点はまだまだ厳しいのが現状です。優しくて温かい地域のつながりがあることで、元気になる人はたくさんいるでしょうね。