研究を通じてドローンの可能性に着目
渡辺 私はもともと自然が好きで、森林伐採などの環境問題に興味がありました。それで大学院では農学研究科に進み、博士号を取得後に京都大学の東南アジア研究所に赴任しましてね。衛星を使って宇宙から地上を観測し、森林の面積の状態や作物の生育状況について分析を行ってきたんです。東南アジアを中心に世界各国を回り、そうした衛星画像分析や地理情報分析を研究してきたんですよ。
原田 研究者として世界各国で環境問題に向き合ってこられたんですね。そんな中で、なぜドローンの事業を始められたんですか?
渡辺 衛星ですと、雲があると地上が観測できないことが多かったんです。そこで、雲の下から画像が撮れる道具としてドローンが最適だと思うようになりました。そうして2014年頃から地上観測のためにドローンを研究に使い始めたんです。
原田 なるほど、ドローンの利点はそういった部分にもあるのですね。しかし、研究者だったお立場からドローンの事業の会社として舵を切られたきっかけは何だったのでしょう。
渡辺 総合地球環境研究所でドローンの研究開発を始めたところ、数々の企業さんから相談やご依頼をいただくようになりまして。ご縁をいただいたことから、研究所の任期を終えて京都大学に戻ったのをきっかけに、株式会社WorldLink&Company(ワールドリンク&カンパニー)の技術顧問として、大学に在籍しながら企業のアドバイザーやCTOなどを務めました。そして2023年の4月に独立し、弊社を設立するに至ったんです。