水野　山田代表が生徒たちを指導する中で、大切にしていることを教えてください。
 
山田　子どもたちの人間的な成長を促すことですね。身体能力の向上や体操の技術力の向上ももちろん大事です。しかし、それ以上に気持ちを込めてあいさつをしたり、相手のことを思いやりながら話をしたりといった、礼節やマナーを重んじることの大切さを教えることも重要だと考えています。そうすることで、子どもたちが社会に出たあとも立派な大人として尊敬される人間になってほしいんですよ。
 
水野　素晴らしいお考えだと思いますね。最近の学校教育や世間の風潮では、多様性を尊重し過ぎるあまりに、批判を恐れて見て見ぬふりをする傾向があるようにも感じます。例えば、引っ込み思案な子どもに対して、それがその子の本来の性格だからといって何もしないまま放置してしまったら、友だちの輪に入れないだけでなく、社会にも馴染めないまま大人になってしまうかもしれませんよね。そんな中で、いわゆる人間力を育む指導をしてくださるのは、生徒さん本人はもちろん、親御さんにとっても好ましいことだと思います。
 
山田　ありがとうございます。確かに、最近の学校では先生も生徒に対して昔のように強く口を出せない傾向にあるようです。でも、私はそのような引っ込み思案な子どもにも、勇気を出してあいさつすることを根気よく教えています。最初はなかなか馴染めなかった生徒が、次第に元気よく笑顔であいさつしてくれるようになった時は嬉しいですね。また、私が指導を始めた当初の教え子たちが大人になり、その子どもをまた指導してほしいと言って来てくれたこともあったんですよ。これまで私が指導してきたことが根付いたと実感できたのも嬉しかったです。
 
水野　親子二代で同じ教室に通うのは素敵ですね！　現在の生徒たちも将来的に、この体操教室で学んだことが人生にとって良かったと思えるようになるのではと感じますよ。30年以上も指導を続ける中ではご苦労も多いと思います。それでも、長きにわたって続けられるのも、そのような喜びや、やりがいがあるからこそではないでしょうか。