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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

222年の伝統をつなぐ
神戸の老舗和菓子店!

 

五感を研ぎ澄まし手づくりで感動を生む

 
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亀山 朝から晩まで和菓子をつくり続ける修業は、本当に大変だったでしょうね。でも、和菓子づくりも野球と同じように、練習に練習を重ねて無駄のない動きができるようになることが大事だと思います。考える前に体が反応するようになったら一人前なのでしょう。
 
萬田 亀山さんのおっしゃる通りです。それができなければ和菓子はつくれません。当店の和菓子は100%手づくりでして。機械を使った大量生産には興味がないんですよ。例えばせんべいは夏と冬で卵の量を変えます。この微妙な工夫はデータで表すことができません。その日の温度や湿度を体で感じ取って調整するしかないんです。そして、わずかでも量を間違えると固すぎたり味気のないせんべいになったりします。
 
亀山 職人さんの体調も、和菓子の仕上がりに関係してくるでしょうね。
 
萬田 ええ、少し風邪気味だったというちょっとした変化も味に表れます。ですから手づくりにこだわって、手間暇かけた和菓子で感動を生む信念を守り続けているんです。
 
亀山 それは野球も同じですね。バットづくりの職人さんは、最終的に手で感触を確認しながら1本1本丁寧に仕上げます。最後まで機械に任せると、いくら正確なデータを使っても、選手にとって違和感のあるバットになってしまうこともあるんです。和菓子と同じくその日の体調も関係してきますし、職人さんの鋭敏な感覚には驚くことばかりですよ。
 
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萬田 ただ、その域に達するには長い時間がかかります。私は修業を積み当店でも一人の職人として和菓子をつくっているものの、共に働く熟練の職人の感覚や技術には到底かないません。五感のすべてを研ぎ澄ます必要がある和菓子づくりの中でも、特に大切なのは耳でして。香りや手触りではなく、音で和菓子の仕上がりの良し悪しがわかるんですよ。
 
亀山 実は野球も耳が肝心なんですよ! バットが空気を切る音、グローブに収まる打球の音などを、耳で感じながらプレーすると上達するんです。野球と和菓子づくりには意外なほど多くの共通点があるんですね。お話をお聞きしていると、萬田代表は伝統的な姿勢に加え柔軟な発想もお持ちの経営者だと感じます。商品のラインナップも、伝統的なものから個性的なものまでいろいろありますね!
 
萬田 ありがとうございます。おっしゃる通り、当店は和菓子づくりの工程では先人の知恵を生かしながら、お客様の嗜好に合わせた商品開発を進めています。