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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

222年の伝統をつなぐ 神戸の老舗和菓子店!
御菓子司 虎屋吉末 店主 萬田悠介

 
プロフィール 200年以上続く老舗和菓子店、御菓子司 虎屋吉末を営む家に生まれる。13歳のときに阪神・淡路大震災を経験。全壊した店舗を見て、店の跡継ぎになることを決意。中学生で始めたアメリカンフットボールに大学卒業まで打ち込み、チームビルディングについて学ぶ。大学卒業後は京都の老舗和菓子店で5年半修業し、御菓子司 虎屋吉末の8代目に就任した。【ホームページ
 
 
 
創業享和元年。江戸時代に創業され、2023年現在で222年も続く神戸の老舗和菓子店が、御菓子司 虎屋吉末だ。8代目店主の萬田悠介氏は、阪神・淡路大震災で全壊した店舗を見て後継ぎになると決意。京都で住み込みの修業を続け地元に戻ってきた。五感を研ぎ澄ます職人の技と、アメリカンフットボールで鍛えた精神力を持ち合わせる萬田代表は、明治末から残る蔵を改装し社交場として開放。地域活性化に乗り出す準備も着々と進めていた。
 
 
 

享和元年創業・神戸の老舗和菓子店を継ぐ

 
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インタビュアー 亀山つとむ(野球解説者)
亀山 神戸市東灘区御影に店舗を構え、222年も続く老舗和菓子店、御菓子司 虎屋吉末さんにお邪魔しています。まずは、お店の歴史を教えていただけますか。
 
萬田 当店の創業は1801年。享和元年になるんですよ。当時から、このあたりはミネラルが豊富な六甲山の伏流水を使った酒づくりが盛んな街でした。私の先祖は酒樽を船で江戸まで運ぶ運送業をしており、「手土産になる和菓子がほしい」という要望を受け当店を創業したそうです。現在まで続く銘菓「樽形煎餅」や「天津知羊羹」を考案し人気を博しました。
 
亀山 100年でも素晴らしいのに、200年以上もお客さんに親しまれるとは。まさに老舗の中の老舗ですね。その長い歴史を背負う萬田代表のプロフィールも気になります。
 
萬田 私は13歳のときに、阪神・淡路大震災を経験しました。このとき、創業以来の店舗が全壊してしまったんですよ。その様子を見て、「明日、何が起きるかわからない」と知った私は、後継ぎになって再建した店舗を支えること、そして、何事にも全力で取り組むことを決意しました。まずは、中学生で始めたアメリカンフットボールに大学まで打ち込み、強い精神力を身に付けながら全員で力を合わせるチームビルディングの重要性を学んだんです。
 
亀山 アメフトのご経験もあるのですね。チームワークを学ぶにはもってこいのスポーツでしょう。ところで、萬田代表は職人としての修業も積んだ経験があるのでしょうか。
 
萬田 はい、経営者は職人の心の内も理解しなければなりませんからね。そこで、大学卒業後は京都の老舗和菓子店で修業しました。3畳の部屋に3人で暮らす住み込みの生活はつらかったです(笑)。そして5年半の修業を終え当店へ戻り、8代目に就任するに至りました。