矢部　女性の貴子さんが現場に出ているという点も、すごいなと感じるポイントです。
 
斎藤（達）　少しずつではあるものの、最近は女性の職人も増えてきているんですよ。女性現場監督も見かけるようになりました。
 
矢部　それだけやりがいのある仕事なんですね。体力面の問題はないのでしょうか？
 
斎藤（貴）　私の場合は現場で体を動かすことがいい刺激になっていますよ。立ち仕事中心のカフェで強張った体が、現場でいい具合にほぐれるんです。
 
矢部　カフェと現場のお仕事でいいバランスが取れているんですね。ところで、このカフェはいつから運営しているんですか？
 
斎藤（達）　妻との再婚を機に家を建てて地元の駒込に戻ってきた、2013年からです。最初はカフェをするつもりはなかったところ、近所の方からお声をいただきましてね。実は、もともと、私の両親が商店街で40年にわたって喫茶店を経営していたんですよ。昔はこの辺りも原宿並みに賑わっていて、特に両親の店のハンバーグは地元で大人気でした。
 
斎藤（貴）　事務所兼カウンセリングルームとして改装工事中にご近所さんが「カフェができるの？」と何人もお声がけしてくださりまして。それなら本当にカフェにしちゃおうと思ったんですよ。喫茶店を閉めて10年以上経つのに、人気メニューのハンバーグを懐かしむ方が多かったので、当時のハンバーグの味を私たちが再現してご提供しています。
 
矢部　周囲の方のお声がなければ、このカフェも誕生しなかったかもしれませんね。懐かしの味が復活して、地域の方々も喜んでおられるでしょう。今では地域の大切な憩いの場になっていると感じます。ヨガ講師やパティシエから職人へ転身なさったことも含め、運命って何がきっかけになって変わっていくかわからないものですね。そのドキドキも含めて、お二人は心から楽しみながら働いていらっしゃる印象です。