アクリルやポリ塩化ビニルなどの板に文字を彫り、建物の案内板や機械の仕様説明として掲げる。それが「銘板」だ。この銘板を50年にわたりつくり続けるのが、京都府京都市の協伸工業株式会社。代表取締役の有田幸代氏は、創業者である夫の有田優氏が急死した後に一から仕事を覚え、12年にわたり事業を継続させてきた。有田社長の努力を支えたのは取引先など数多くの人たち。人との縁を大切にする有田社長のこだわりに迫った。
短納期・小ロットにこだわり銘板製作50年
有田 銘板とはアクリルやポリ塩化ビニル、アルミなどの板に文字やマークを彫ったもので、建物の案内板や機械の仕様・説明書きとして使われます。弊社はお寺や工場、学校などに年間1万枚以上の銘板を納品しているんですよ。特に短納期・小ロットにはこだわりがあり、1枚のご注文でもお断りしたことがありません。
名高 発注元の企業さんにとって、とてもありがたいことですね。それでは、有田社長のご経歴を教えていただけますか。協伸工業さんは有田社長が設立した会社なのでしょうか。
有田 弊社は、1967年に私の主人が立ち上げました。法人化したのは1997年。ところが、2005年に主人が病気で亡くなってしまったんですよ。主人は息を引き取る前に「自分が死んだら、お前は俺の会社で食べていけばいい」と言い残してくれました。私はその言葉を「会社を継いでくれ」という遺志と受け止め、経営を引き受けることに決めたんです。