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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

鳶としての誇りと共に
街づくりの一端を担う

 

人を大切にした組織づくり

 
川口 半分、反発心からの独立でしたから、辞めたときには親方から「もうお前とは絶対に一緒に仕事をしない」と宣言されてしまいました。実際に、そこから16年くらいは音信不通になってしまって。それが2013年頃に「人を貸してくれ」と、いきなり電話がかかってきたんです。もう、嬉しかったですね。心の中で「やった!」と(笑)。
 
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相原 どこかで川口代表の仕事ぶりを見ていて、認めてくれたんですね! 本当に縁がある人とはもう一度出会えるものなんだと思います。
 
川口 そうですね。この業界は「出ていったら使うな」という、なんとなくの共通認識がありますが、私は「出て行った者も帰ってこい」というスタンス。たとえ、仕事を辞めて独立していっても、仕事がなければ帰ってくればいいと思っているんです。恥ずかしいことは何もない。仕事があるところに来て、みんなで一緒に仕事をしたらいいと思っています。
 
相原 組織の代表として素晴らしい考え方をお持ちですね!
 
川口 自分が苦労したからこそ、今の若い子たちには同じ経験をさせたくないんですよ。私がされて嫌だったことはできるだけしたくないので、怒ったり、殴ったりということもしません。若手ながら信頼しているスタッフがいまして、新人の駄目なところは彼がしっかりと叱ってくれるので、私は基本笑顔でいようと心がけています。
 
相原 業界としては若い人材がいないという話をよく聞きますから、そうやって若手で頼りにできるスタッフがいるというのは良いですよね。
 
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川口 現場も基本的にはもう従業員に全て任せていまして。当事業所では主にマンションや市営住宅など、大型建築物に伴う足場工事を手がけています。JR京都駅に毎年出現する、巨大クリスマスツリーの設置に伴う足場づくりや装飾も我々が手がけているんですよ。あとはお寺での足場組みなども。足場だけでなく、お寺の屋根の上にさらに屋根をかけることで、大工さんたちが瓦の掛け替えを行う際に、雨に濡れることなく作業できるんです。これは、江戸時代から続く作業であり、親方からも常に「これができて始めて鳶職だ」と言われていました。
 
相原 なるほど、工事現場で働く人々を支えるのが、川口組さんのお仕事なんですね。