プロフィール 北海道出身。大学進学を機に上京し、在学中は出版会社や弁当ショップ、中華料理店、法律事務所など様々なアルバイトで経験を積む。卒業後はハイヤー事業を手がける会社で事務や営業に携わる。その後40年程、医療や介護職の労働環境の改善に努め、2002年に社会保険労務士に登録、2005年には国会で参考人として意見陳述。2008年に特定社会保険労務士の資格も取得し登録した。現在は労働関係の様々な諍いに対応している。
東京都多摩市にある濱田實・特定社会保険労務士事務所。代表の濱田實氏は40年にわたり医療や介護現場の労働環境改善に取り組み、特定社会保険労務士の資格を取得。自らの事務所を開所した。裁判外紛争解決手続制度、通称ADRで代理人を務めることができる特定社会保険労務士は、労働紛争解決の役割が期待されている職種。感情的になりがちな紛争を未然に防ぎたいと企業研修にも力を注ぐ濱田代表の、八面六臂の活躍に迫ってみた。
医療・介護の労働環境改善に40年取り組む
川上 今日は、東京都多摩市の施設にお邪魔して、濱田實・特定社会保険労務士事務所の濱田實(Minoru Hamada)代表にお話をうかがいたいと思います。まずは、濱田代表が社会保険労務士になるまでの歩みから教えていただけますか。
濱田 私は大学を卒業後、ハイヤー会社で営業を担当していました。銀座の企業などを800件近く回り、深夜に配車の手配をする仕事です。その会社を退職後、医療や介護の現場で労働環境を改善する仕事に、40年間取り組んできました。
川上 40年もですか。まさに労務管理のプロフェッショナルですね! 医療・介護の現場は過酷だと聞きますが、実際はどのような状況なのでしょう。
濱田 そう、大変なものですよ。例えば看護師のシフトは日勤、準夜勤、夜勤などに分かれていますが、日勤の後そのまま夜勤に入るなど、過酷な勤務を強いられる場合もあります。夜勤の日数を制限する法律はあっても、医療関係者は医療事故を起こさないように気をつけ、自分のことは横に置いて患者さんを優先するうちに、体も精神も持たなくなってしまう厳しい実状があるんです。それで厚生労働省は医療や介護現場の労働環境改善に力を入れ、全国の社労士会も協力しています。私も経験を活かし尽力する所存です。