パーティション業務を
ワンストップでサービス
業務・スタッフと共に信用を引き継ぐ
石黒 現在、パーティションの配送だけでなく、販売や施工などの業務全般を提供しているということは、その会社の業務を引き継がれたということですか?
加藤 はい。最初はすごく迷いましたが、妻の意見を聞いてみたところ、「あなたが元請の事業を引き継ぎたいなら、それでいいと思う」と言って背中を押してくれました。それで心が決まったものの、今度は同業者から圧力がかかりましてね。
石黒 圧力? それはパーティションの施工を行う業者からですか?
加藤 はい。元請会社は業界では作業品質に定評のある会社でしたが、そこが経営不振に陥っているのだから、同業他社は市場占有率を増やそうとします。そこに、その会社の下請けだった運送業者が「後を引き継ぐ」と言い始めたわけですから、おもしろくなかったのでしょうね。
石黒 でも、その圧力に屈せず、後継を敢行されたと。
加藤 運送業と言っても、パーティションを20年近くも運んでいたのですから、その製品の特製や取り扱い方は熟知していますし、業界全体のことも把握しています。何より、元請企業に勤めていたベテランの職人や営業マンが、「引き継ぎ後も一緒に仕事をしたい」と言ってくれたことが私に勇気を与えてくれたんですよ。同業他社に移ることもできたはずですが、「業務を残してくれるのだから、今まで以上に頑張る」と言ってくれました。とても嬉しかったですね。当社としても販売・施工を行うことで、輸送だけをメインにしていた頃よりもお客様と密接な関係が築けるようになるので、踏み切ってよかったと思います。
石黒 みんながつらい思いをして再起されたからこそ、団結力はかなりのものになったでしょうね。
加藤 ええ。何しろ建設業に参入するためには許可が必要なのですが、それをわずか半年で取得できましたからね。
石黒 半年ですか!? それは異例のスピード取得と言っていいと思いますよ。すごいですね。
加藤 スタッフ全員がとても優秀なおかげです。一言で表現するならみんな、「融通が利く」んです。お客様も当初は「知らない会社には仕事を発注できない」と口にされていましたが、営業担当として訪問してきた人間や施工を手がける職人ら、以前のスタッフが変わらず在籍していることを知ると、すぐに信用して仕事を発注してくださいました。例えば、これは建築業界全般に言えることですが、施工は通常、図面ありきで進んでいきます。しかし現場では、図面通りに行かないこともある。そんな時、他社の職人であれば変更を容易に受け入れないことが多いのです。仕様が変われば、材料も作業工程も予定とは違ってきますからね。