B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

中小小売の物流代行
小口化に柔軟対応

 

価値観の多様性がもたらす物流の変化

 
150805_k2277_g02.jpg
杉田 多様化したと言うとバラバラになっただけのようですけど、もっと深い部分では、ある共通の価値観が育っているのではないでしょうか。以前、京都でお会いした老舗のクリーニング店の方は、傷んだ衣類などを直してくれるそうで、私の主人がどうしても捨てられない肩口の破れたよれよれのコートを試しに持って行ったら、丁寧に当て布をして見事に生き返らせてくれました。
 
平山 それは大した技術ですね!
 
杉田 評判を聞きつけた人が全国から自分の大切な持ち物を送って、直してもらうケースが増えているそうです。使い捨ての時代からまた昔のように、ものを大事にするようになったんだなと感じます。
 
平山 今の話から発展させると、これからの小売のあり方はネットでも実店舗でも、お客様のニーズによって二極化の道を辿ると思います。つまり、日常に欠かせない消耗品は大手で安く買い、お気に入りの商品があったりショップ自体のストーリーが好きだったりする場合には、少し値が張ってもそこで手に入れるという具合に。
 
150805_k2277_t02-2.jpg
杉田 私、そうした中小の小売業のためだけでなく、この国全体のためにも流通経路は増やしたほうがいいと思っているんです。というのも、東日本大震災の折、普段あれだけものがあふれている東京で、スーパーやコンビニから食べ物や生活雑貨がなくなっていく様子には衝撃を受けました。大手の牛乳が軒並み品薄になる中、いつもと変わらない流通量を保っていたのは、島根県で50年以上続いているオーガニックの乳製品メーカーさんだけだったように記憶しています。流通を大手のチャンネルだけに頼ってしまうのは、危ないような・・・。
 
平山 確かに、あの時ほど、流通のことが一般に意識されたことはなかったでしょうね。確かに、せめて食糧や必需品は、いくつかの異なるルートで入手できたほうが健全だと思います。今後は、小売の二極化が進んでいくと、趣味的な品物だけでなく、必需品の出荷元も各地に分散していくでしょう。大手に比べると少ない流通量だとしても、いざという時の助けになればいいですね。