小和田　そうですよね。振り返ると、「背伸びした以上は逃げられない」というあの当時の覚悟と責任感が自分を大きく成長させてくれたと思います。その分努力も、人の何倍もしました。自分より腕の良い職人さんの仕事を観察して吸収し、自分の作業中は「あの人ならどうするか」と常に考えていました。時には夜にその職人さんが作業した現場をこっそり見に行くこともあったなあ。そこまでやり続けて、やっとキャリアにも自信を持てるようになりました。

 

宮地　まさに有言実行ですね。そんな小和田代表が今お仕事で一番大切にされていることは、何ですか？

 

小和田　「物にも人にも誠実に向き合うこと」です。素材のアルミには無機質なイメージがありますが、愛着を持って丁寧に扱うと仕事の仕上がりも違います。また、お客様に対しては“プラスアルファ”の提供にこだわっています。物干し台の高さが1cmでもずれていたら調整する、という具合にね。客観的には、そこまでやるのは自己満足かもしれません。でも、自分が納得のいく仕事をすればお客様にも通じるし、貢献できると信じているんです。

 

宮地　とても共感します。私も「自分が納得できる仕事を追求する」という姿勢を大切にしているんです。「もうちょっと！」と思って無理をするから小さな失敗も出るんですが、それも経験値だと思うんですよね。

 

小和田　ああ、いい姿勢ですね。私も同じで、失敗や苦い経験は教科書にして、新しい現場に活かしてきました。思えば、失敗が糧になったというのは人生そのものにも言えます。郷里でのこと、高校時代のこと、音楽での学び、内装業や飲食業での経験、それら全てが自分の血肉となっています。特に、飲食業界で「付加価値を提供する」というサービス業の精神を身につけたことは、本当に良かったと思いますね。