安心・安全を搭載し
快適なバス旅行!
ドライバーや運行管理者として経験を積む
前園 東京でバスのドライバーとして働くようになって、最初はどうでしたか。
石井 毎日、かなり緊張しながらの運転でしたね。それまではトラックで荷物を運んでいたわけですが、いくらお客様の荷物とは言え、人命と比較すると責任の重さが全く違います。だから、初めてお客様を乗せて運行した時のことは、鮮明に覚えています。新宿区の大学から、長野県の戸狩温泉のスキー場まで大学生のお客様をお連れする仕事でした。
前園 乗客にすれば、初心者だろうが、10年のキャリアを積んでいるドライバーだろうが関係なく、自分の命を預けることになるから、責任重大ですよね。
石井 そうです。ですから、ともかく安全運行だけを考えました。降車時、お客様に「ありがとう」と言われ、とても嬉しかったですね。
前園 そちらの会社には何年ぐらい勤められたんですか。
石井 ドライバーとしては5年半くらいです。その後、国家資格を取得してドライバーと兼務しながら運行管理者を3年ほど務めました。そうして当社の前身となる会社に転職し、2012年に会社が分社化することになったのを契機に、分社したほうの経営を引き継いで独立したんです。
前園 すでに経営基盤があったとはいえ、従業員と経営者とでは立場が全く違います。決断には勇気が必要だったことでしょう。
石井 はい。大きなお金が動く仕事ですし、何かあった時には全て私が責任を負わねばなりません。しかし妻に相談したところ、私がこの仕事が好きで真剣に取り組んでいることをよくわかってくれており、快く背中を押してくれたのです。それで勇気が湧いて、決断できました。
前園 素晴らしい奥様だなぁ。経営にあたって、心がけていることを聞かせてください。
石井 バス会社として当然のことですが「安全への取り組みの徹底」です。当社は社団法人日本バス協会が行う「貸切バス事業者安全性評価認定制度」において、2つ星の認定を受けていましてね。2015年3月現在、3つ星認定されている会社はないのですが、当社は2015年9月に認定制度初の3つ星認定を受けられるよう、目下取り組んでおります。
前園 それはすごい! きっと、厳しい基準をクリアしないといけないのでしょうね。
石井 はい。経営トップから現場まで、社内全体で安全管理体制を構築して輸送の安全性向上を目指す「運輸安全マネジメント」への取り組み状況などを審査されます。これは国土交通省の主導で行われている安全制度なんですよ。安全と口で言うのは簡単ですが、具体的にどんな対策を講じているかや、これまでの事故および行政処分の状況などを常に可視化できるような体制を構築しなくてはなりません。