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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

髪と心に潤いを与える
森の泉のホスピタリティ

 

失敗を乗り越え、トップスタイリストに

 
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店舗入り口。着付けサービスも提供している
宮地 池袋ってレベルの高い店の集まる激戦区の一つですよね。大型店ということは、スタッフも相当数いたでしょう?
 
並木 広さで言えば当店の5倍くらい、スタッフの数も常時20人ほどいました。
 
宮地 そんなに!? それだと、正スタイリストのポジションを得るのも大変だったでしょうね。
 
並木 それはもう。美容業界は、離職率が高いことで知られています。スタイリストになるまでに相当な年月がかかりますし、その間は待遇もよくないですからね。しかも、日々の仕事をこなしているだけでは技術が向上しません。だから、夜間や休日の練習が欠かせないので、なかなか自由な時間が取れないんです。私が勤めていた店にも多くのアシスタントがいましたが、次々と辞めて最終的に残ったのは私を含めて2人だけでした。
 
宮地 修業期間は本当に過酷な経験をなさったんですね、私だったら辞めたくなってしまうかも。
 
並木 辛いことはたくさんありましたが、「この店でトップスタイリストになってから独立する」 という明確な目標があったので、最後まで残って頑張れたんだと思います。でも、入店3年目くらいに一度だけ辞めたくなったことがありましたね。
 
宮地 それはどんな理由があったんですか。
 
並木 あれは、初めてハサミを持たせてもらった時のことでした。ロングのお客様がいらして、先輩の指示で私が担当をすることになりました。技術が未熟な間は、あまりハサミを入れなくてもよいロングの方を担当するのが業界の常識なんです。
 
宮地 失敗する可能性が少ないからでしょうね。
 
並木 そうですね。ところが、カウンセリングをしたら 「ばっさりと切ってショートにしたい」 とおっしゃるんです。先輩に相談したら 「一度担当を名乗ったのだから最後までやれ」 と言われました。
 
宮地 うわぁ! それは緊張したでしょうね。無事にカットできましたか?
 
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広々として開放感があるうえ、明るさ溢れる店内
並木 ハサミを持つ手は震えるし、鏡を見て確認する余裕はないし、緊張で何を話したかすら憶えてないし・・・。終わるには終わったのですが、後から先輩たちにさんざん絞られました。
 
宮地 それは、お客様からクレームがあったからですか?
 
並木 お客様からは、私は何も言われなかったんです。でも、先輩たちは 「もうあのお客様は二度と来ないよ」 と断言していました。それからしばらくは落ち込みましたし、「自分にはこの仕事は向いていないかもしれない」 とも思いましたね。