せんだ 田中代表はバンビ介護タクシーさんを立ち上げるまでに、どんな経験をされてきたんでしょう。
田中 飲食業や自衛隊など、本当に様々な仕事をしてきましたよ。中でも特に印象に残っているのが、病院でのリハビリ介助の仕事ですね。ちょうどタクシードライバーを辞めた頃、病院の理事長をされている原山さんという方と知り合いまして、その方に 「私の病院で定年まで働きなさい」 と招かれたんです。
せんだ リハビリ介助か。今の仕事と通じるところがありますね。どんなことが印象的だったんですか?
田中 誘ってくださった原山理事長は、男が惚れるような男気のある方で、私は尊敬の意味も込めて 「ボス」 と呼んでいました。ボスからいろいろ教わった中で、「これからの病院というのは 『治療してあげる、診てあげる』 という考え方ではダメだぞ。『治療させてもらう、診させていただく』 という気持ちじゃなきゃ」 と教えられまして。ズシリと心に響きましたね。
せんだ それは尊敬できる、素晴らしい考え方だ。そんな理事長のもとで働ければ、やりがいも大きかったでしょうね。
田中 大きかったです。叩き込まれた教えを肝に銘じ、足を骨折された方や、長患いで歩けなくなった人たちのリハビリを一生懸命担当させてもらいました。すると歩けるようになる方も出てきて、「先生ありがとう」 なんて言ってもらえることもありましたね。すごく嬉しい反面、私はドクターではないし、ただマッサージをしただけなんでどうにも照れくさくて(笑)。でも、リハビリ介助を経験してから、介護が私の生きがいになっています。
せんだ 患者さんに 「ありがとう」 と言われることほど嬉しいことはないと思います。それで介護タクシーを始められたんですね。
田中 もう一つきっかけがあります。息子の事故です。息子は自衛隊に勤務していたんですが、ある時バイクで自損事故を起こして、脊椎損傷になってしまったんです。それまで元気だった子が、一瞬にして車イス生活・・・。その当時は妻と二人で10日以上泣きました。「どこにこんなに涙があるんだろう」 って思うぐらい。それでも、息子は運がいいほうでした。病院の先生によると、あと5分病院に到着が遅れていたら命はなかったようなんです。たまたま現場近くのゴルフ練習場にいた人たちがすぐに救急車を呼んでくれて、それで一命を取り留めたんですね。もう、本当に感謝としか言いようがありません。