鈴木　いえいえ。細かい要望よりも想像力が発揮できてやりがいがあります。人間って、わかりあって会話しているつもりでも実は食い違っていたりするでしょう。でも、だからこそ、対話の中で創っていくと意外な良いものが生まれるんです。たとえばこちらのお宅 （上掲 「Simple Box House」） は、私が提案した色とお施主様の好みの色が違っていたのですが、お施主様の意思を尊重したらことのほか良いバランスになって。対話が大切ということを実感しました。

 

宮地　建築士さんというと、非常に硬くて黙々と仕事をする人というイメージを持っていましたが、鈴木さんはお話しやすくて、一緒に頑張ってくださる感じが伝わります。家が建つのが楽しみになります。最後に今後の意気込みを教えてください。

 

鈴木　この先の自分の人生よりも長く残る物を作る仕事ですから、その責任の重みを忘れてはいけないと思っています。決して高価な材料ではなくても 「まがいものではない」 本物の素材を使って、経年変化によって味が深まるような、年齢を重ねることで魅力を増す建築を残していきたいと考えています。

　また、良い建物には物としてのカタチを越えた、モノづくりに関わったすべての人たちの “想い” が表れていますから、闇雲に数をこなすのではなく、お施主様との対話を楽しみながら、一つひとつの仕事を大切に正直に手がけていきたいですね。

 

宮地　これからも頑張ってください。私も陰ながら応援しています。