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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

尊敬する人たちへの感謝を胸に
あん摩・マッサージ・指圧治療

 
 
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五十嵐 あ、これだけでずいぶん楽になりますね。なるほど、相手の状態を診て施術するって、こういうことなんだろうな。施療に気持ちが通っているというか。
 
鈴木 気持ちを通いあわせることが一番大事ですね。その点は常に意識しています。
 実は私は、以前は営業マンをしていたんです。でも、どうしても肌に合わなくて辞めてしまい、大学時代に続けていたライフセービングや幼少からお世話になっている水泳クラブ 「日泳会」 での水泳指導・トレーニングを行うようになったんです。今思うと目標を見失った時期でした。でも、ある年の夏、新潟県の柏崎ライフセービングクラブでビーチの監視員をしたときに、海に来ていた男性から 「監視員さんがいるから安心して遊べる。いつもありがとうな」 とわざわざ話しかけてきて感謝されたんですよ。それまで人に感謝された経験がなかったから、ものすごく胸に響いて、本当に嬉しかった。それからです。「人の役に立つ仕事がしたい!」 と強く思うようになったのは。
 
 

29歳で専門学校へ
密度の濃い勉強を続け国家試験に合格

 
五十嵐 人に感謝されて感動する経験って、何よりの動機になりますよね。
 
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鈴木 なりますね。柏崎では尊敬できる人との出会いにも恵まれました。クラブに池谷薫さんという先輩がいて、2007年に新潟県中越沖地震が起こったときも、池谷さんは柏崎LSCのリーダーとして積極的にボランティア活動をされていました。でも、「しんどい」 とか 「疲れた」 という言葉を一言も聞いたことがなかったんですね。どうしてか聞いたら、「おれが疲れたって言ったら、皆どっと疲れちゃうだろ。だから、落ち着くまでは絶対に疲れたって言わないんだ」 とおっしゃるんですよ。
 
五十嵐 素晴らしいですね!理想的なリーダーですよね。
 
鈴木 「練習だけは真面目にやれ」 とライフセーバーの心得を教えて下さったのも池谷先輩でした。万が一海で事故が起きたとき、世間や人は責めなくても、自分たちは 「どうして助けられなかったのか」 ときっと自分を責めてしまう、と。だから、悔いを残さないためにも、可能な限りの練習をしろ、と。
 
五十嵐 なるほど・・・。人としてどうあるべきか、思わず姿勢を正される考え方ですね。
 
鈴木 実際に池谷さんは、国内でも特に事故が多かった柏崎の浜を、とうとう水死事故ゼロの浜にされました。2004年にはライフセーバー・オブ・ザ・イヤーも受賞されました。すごい方ですよ。
 それで考えたのです。自分は池谷さんほどのライフセーバーにはなれない。でも、彼のような存在をバックアップできる人間になりたい、と。それで29歳のときに、「あん摩・マッサージ・指圧師」 を目指して専門学校に入ったのです。実家が 『ミチコ・ヤノ・モダンバレエカンパニー』 というバレエスクールを開いていますし、体を使う仕事の家系だった影響もあると思います。