名高 齋藤土地家屋調査士事務所さんにお邪魔しています。さっそくですが、土地家屋調査士とはどんな仕事をする職業なのか、齋藤修代表からご紹介ください。
齋藤 土地や建物がどこにあり、どんな形状で、どのように利用されているかなどを調査・測量して図面を作成し、登記の申請手続などを行う仕事です。土地の登記を申請する際は、隣の土地との境界をはっきりさせなければならないため、昔の図面や資料を集め、当事者から話を聞き、境界を確認するわけです。大事なのは、必ず公正を保つこと。依頼を受けたからといって、その人に有利に線を引いてはなりません。たとえば弁護士は依頼人のために相手と闘うのが商売ですが、私たちは闘ってはいけないんです。
名高 双方が満足と納得がいくようきっちり裁定しなければならないわけですね。まるで大岡越前だ(笑)。
齋藤 境界線は動かしてはいけないんですが、親から子へ何代も受け継がれる間に塀を立てたり木を植えたりしてうやむやになってしまうものなんです。それを私たちが現地の境界杭、法務局や行政の資料、当事者の話をもとに測量し、境界線を示すのですが、図面がないときなどは難しいですね。感情的にもつれてしまってお互いが譲りませんし、私たちも、根拠もなしに 「こうだろう」 と言えませんから。
名高 土地って、不動産、資産ですからね。その境界をどう引くか・・・。
齋藤 ある意味、土地は生き物なんですよ。おかしな状態になることもある。それを適正な状態に直してあげるのだから、私の先輩などは 「私たちは土地のお医者さんである」 と言っています。まったくその通りだと思いますね。
名高 もとはサラリーマンをされていて、その後東京で修業されて測量士と土地家屋調査士の資格を取って、4年前に水戸に帰ってこられたとうかがっています。水戸での仕事の状況はいかがですか。
齋藤 水戸地域の土地家屋調査士の平均年齢は60歳弱ぐらいでしょうか。皆さんベテランで、地域に根差した仕事をされています。私は、経験も実績も乏しい駆け出しです。皆さんと同じことをやっていても振り落とされますから、自分なりにいろいろ考えて工夫しています。