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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

最適化社会をサーブする
放置・廃棄自転車回収業

 
 
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吉田 埼玉県を中心に1都6県をテリトリーとしています。マンション管理会社や団地の自治協議会、商業施設などと契約して、撤去依頼の連絡があればお伺いする形です。
 
石野 放置自転車は、あらゆるところで発生していますよね。回収依頼は多いのでは?
 
吉田 おかげさまで。今までの例で、大きな団地で一度に自転車を2500台、オートバイを150台回収したこともありました。約2年ぶんの放置量ですね。団地居住者は入れ替わりが激しく、引っ越しで自転車を持って行く際は別見積もりで3000円くらいかかるので、置いていってしまう方が多いのです。故障しても、修理するより新品を買ったほうが安かったりするので、放置自転車は増える一方なんですよ。
 
 

料理人の感性でリサイクルを調理する

 
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石野 直すより買ったほうがいい状況は考え物ですね。ところで吉田社長は、以前からリサイクル関係のお仕事をされていたのですか?
 
吉田 いえ、料理人に憧れて調理師学校に通い、卒業後は10年間、和食とラーメン系の飲食店を渡り歩いていました。ただ、中古品を修理したりするのが好きで、もともとリサイクルにも興味があったのでリサイクル・ショップでアルバイトを始めたのですよ。そこで、放置・廃棄自転車回収会社の話を聞き、興味が湧いてきて飛び込んだのです。
 
石野 転身されてから独立開業されるまでの経緯というのは?
 
吉田 車両持ち込みで回収と営業業務を請け負い、一時は支店として活動していました。その後、平成21年の6月に株式会社KCTとして完全に独立いたしました。もともとが料理人ですから、事業でも自分なりの味付けをどうしても追求したくなってしまって(笑)。
 
石野 「KCTの廃棄自転車回収業は一味違うぞ」ということですね。
 
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敷地内に積まれた廃棄・放置自転車。これが「宝の山」だ。

 
吉田 はい。関東は自転車回収業者も多く、大資本も参入してきています。ただ、私に言わせると、どこも十分に気持ちが入っていません。この仕事をただの廃棄物処理業だと捉えているんじゃないでしょうか。それでは面白くないですよ。
 私も、独立した当初は顧客ゼロの状態でしたが、頭の中には自分なりに自転車回収業を調理するプランができていました。だから堂々と「当社は他社よりかなりお得ですから、ぜひ契約してください」と、団地や商業施設を口説いて回りました。おかげさまで、現在は自社所有の3t車と2t車、軽トラがフル稼働していて、それでも車両が足りない時はリース車も借りて仕事を回しています。7人体制でも追いつかず、私も現場に出なければいけないほど繁盛しています。腰が痛くてかないませんよ(笑)。