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スポーツ コーチは愉し vol.5 データを基に努力しよう コーチは愉し ゴルフツアープロコーチ

スポーツ
 
こんにちは。ツアープロコーチの内藤雄士です。桜前線北上の便りを耳にする季節となりましたね。連載も残すところあと2回。今回は、僕がコーチングにおいてデータや数値をいかに活用しているかについてお話ししたいと思います。
 
 

データ解析でスポーツは進化する

 
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スポーツのデータ活用と聞いて、皆さんは何を連想されますか? 
 
大リーグ中継でときどき見る、極端な守備シフト。あれはまさしく、データ分析が編み出した新しい戦略です。1ナウト、フルベース。左バッターボックスに立つ強力なスラッガー。このピンチで、一二塁間に3人の野手が配置される。観客は、ハラハラどきどき。果たして打球は野手の真正面に・・・。
 
これはたまたまではなく、バッターの打球の飛ぶ方向をデータ化し、統計的な見地から対策を練った結果です。理にかなった戦略を持ち、チャレンジする姿勢はまさにプロフェッショナル。こんなチームなら、ファンならずとも観戦したくなりますよね。
 
昨今の「水泳ニッポン」の復活。これも、欧米で進んでいるデータ重視の練習方法を取り入れたことが要因と、事情通から教えてもらいました。
 
では、日本のゴルフ界はどうなのか・・・。残念ながら、アメリカやヨーロッパのトレーニングと比較すれば、遅れていると言わざるを得ません。データではなく見た感じや経験値で助言するコーチやインストラクターがまだまだ多いのです。
 
 

数値を用いた説明は伝わりやすい

 
具体的に説明しましょう。
コーチがゴルファーのスイングをチェックする時、必ず注目するのは「アタックアングル」です。アタックアングルとは、クラブヘッドがボールに当たる際の入射角のこと。この角度が理想に近ければ、クラブヘッドは真正面でボールをとらえられ、ボールはイメージ通りの弾道を描いて、ぐんと飛んでいきます。
 
別の言い方をすれば、実際の入射角が理想とずれていれば、飛距離も伸びず、ボールは予想外の場所に行ってしまう・・・。
 
スランプに陥っているゴルファーの多くは後者の状態です。そこでコーチが改善方法をアドバイスするわけですが、従来のレッスンは“形”から入っていました。でも今は最新の機器によって、インパクトの瞬間のいろいろな数値から、インパクトの際のクラブの動きとボールが飛んでいった後の結果がわかります。だからレッスンも、理想的な数値に近づけるように行います。これによって、コーチが指摘する内容は以前よりシンプルになり、選手も問題点を客観的につかみやすくなりました。僕が形よりもデータや数値を重視する理由はこれに尽きます。
 
 

科学的努力を実践したい

 
正しい数値を示し、それに近づけるよう何回も反復練習。そうして、理想のスイングへと昇華させる。これこそが我々プロコーチの使命ですが、医療行為に似ているとも捉えています。
 
悩めるゴルファーは、いわゆる患者さん。まずはコーチがスイングを目で診断し、次に問診しながら問題のある箇所を深く掘り下げます。そして、スイング解析マシンを使って、修正ポイントの数値を測る。医療の世界では、MRIやCTスキャンなどを扱う臨床検査技師があたる部分かもしれません。そして、そこから得られたデータや数値をもとに練習プランを立てて、二人三脚で取り組み、理想的な数値のスイングへと導く・・・。ねっ、似ていると思いませんか。
 
マシンの性能は日進月歩です。それにあわせ、情報伝達スキルも高いレベルが求められます。そういう意味では、我々コーチの責任はますます重くなったと言えるでしょう。
 
「努力は必ず報われる」とは、よく言われるところ。でも、この言葉には僕は少し違和感を感じます。
 
僕の思う「正しい努力」とは、現状を示す数値を理解したうえで対策を練り、十分な量のトレーニングを重ねること。つまり科学的根拠に基づいた練習こそが、上達への近道だと考えています。
 
皆さんのビジネスの中にも、きっと鍵を握るデータや数値があると思います。行き詰まった時は、一度それらを見直されてみてはいかがでしょう。打開策が発見できるかもしれませんよ。
 
 
 
 
内藤雄士の 「コーチは愉し」
vol.5 データを基に努力しよう 

 著者プロフィール  

内藤雄士 Yuji Naito

ゴルフツアープロコーチ

 経 歴  

1969年9月生まれ。日本大学ゴルフ部在籍中にアメリカにゴルフ留学し、最新ゴルフ理論を学ぶ。帰国後、ゴルフ練習場ハイランドセンターにラーニングゴルフクラブ(LGC)を設立し、レッスン活動を開始。1998年、ツアープロコーチとしての活動を始め、2001年には、マスターズ、全米オープン、全米プロのメジャー大会の舞台を日本人初のツアープロコーチという立場で経験。丸山茂樹プロのPGAツアー3勝をはじめ、契約プロゴルファーの多数のツアー優勝をサポートした。主なレッスン著書のうち、500円シリーズ (学研)はシリーズ合計130万部を超え、今も売れ続けるベストセラー。現在は、ツアープロコーチとしての活動やジュニアゴルファーの育成に力を入れる傍ら、ゴルフ専門チャンネル「ゴルフネットワーク」にて「あすゴル」にレギュラー出演し、PGA TOURの解説を担当している。また中日スポーツ・東京中日スポーツにて毎週木曜日「内藤雄士の必ず上達するこれが最新スイング」を連載中。

 オフィシャルホームページ 

http://www.naitoyuji.com

http;//www.golf-highland.co.jp (ハイランドセンター)

(2015.3.11)
 
 
 
 

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