「一回りして新たな売り方に」
主従の主が映像配信に変わった
思うに、コメダはどこかの時点で、「一回りして“喫茶店”に戻ってくるから」と気付いたんじゃないかな。実際私も、スタバが閉まったからしょうがなくコメダに来たら、こっちのほうが良かったもんね。肝心の商品であるコーヒーも、私ぐらいになるともうスタバは味が濃すぎるのよ(笑)。それより喫茶店のコーヒーが口に合うの。いやぁ、コメダいいわ。
こういうふうに「一回りして新しい売り方に変えるべきタイミング」に来ているものって、他にもたくさんあるんじゃないか。いい例がプロ野球だ。今年のプロ野球リーグは先月19日に開幕した。野球好きには待ちに待った開幕戦だ。それが、史上初になるのかな、無観客試合でやったんだよね。
スポーツでも何でもそうだけど、興行ビジネスは今まで、スタジアムに人を入れて見せるスタイルが前提になっていた。主な収益源はあくまでリアルの会場にあった。だけどこれからは、今回の無観客試合みたいに映像配信を「主従の主」にするビジネスが、各方面で来るんじゃないだろうか。
70%値引きでも売り上げは何倍増
物理的制約が外れることの効果
勘違いしちゃいけないのは、運営側にとっていいだけでなく、お客にとってもメリットなんだよ。純粋にプレーを楽しみたい人にとっては画面でピッチャーのフォームの違いまで見ながら、バットが硬球をはじき返す「カーン!」という音をファンの歓声でかき消されずに聴きながら観戦できたほうがおもしろいんだよね。しかも、それを楽しんでもらえる人の数がスタジアムの物理的な大きさで制約されない。会場で生の雰囲気を味わう楽しみ方も否定はしないが、他の楽しみ方も提供できる点で、映像配信メインにシフトしていくのはファンやお客さんのためにも“あり”だと思う。
それらを踏まえて、私は今度、会場に若干名だけ入れて、構成を映像配信向けにしたサトカメエキサイティング ウェビナーを7月28日の火曜日に開催してみます。会場はもちろん三密を避ける。想定するお客さんは「①オンラインで生配信を見る人、②会場でリアルを見る人、③後で動画視聴用のURLを購入して見る人」の3パターンだ。やってみてどうだったかはまたこの欄で報告するから、ヨロシク!
在来線で移動したシグマの社長
もっと勉強して強くなりたい
俗に「ゆとり世代」と言われるけど、私は彼らのことが不憫で不憫で、かわいそうで仕方ない。だって、小学1年の時からゆとり教育で育っているんだよ!? 週2日休みが前提だから、週2日休まないと働けなくなっている。それでまた1日の労働時間が8時間までに抑えられるから、成長スピードがすごく遅くなっている。
昔からよく言うよね。大抵のことは2万時間やったら一人前になれるって。それでいくと我々の世代は週1日休みで、1日11時間も12時間も働かせてもらえたから、5年も頑張ればみんなその道のプロになれたけど、今のペースでは10年かけてやっと一人前だ。これをかわいそうと言わずになんと言うのか。
「人生100年時代なんだからそれでいいじゃないか」という見方があるだろうけど、どうせ覚えなきゃいけないことは早く覚えたほうがいいのは当たり前だ。技術とか経験知とかいうものは、「これを覚えてからじゃないとこれは理解できない。本当の意味で身に付かない」ということがありうる世界だ。Aを飛ばしてBを覚えるわけにいかない。だからどんどん前倒しで、詰めて詰めて覚えていったほうが本人のためにいいんだが、それだと彼らのほうが付いてこれないんだよね。ゆとりがない状態への耐性がないから。
そう考えると昔の人は賢かった。今の若者より我々、我々よりその前の世代、さらにもっと前の世代、というふうに時代をさかのぼればさかのぼるほど、同じ年、例えば30歳のときの経験値は、昔の人のほうがはるかに高かったと思う。坂本龍馬は31歳で死んだけど、今の人の60歳ぶんぐらいの経験値があっただろう。史実を見れば実際にそれぐらいの仕事をしてるじゃないか。
それに比べて今の経営者はどうだ? 口を開けばやれ早く引退したいだの、働かなくてすむ人生が一番だの。馬鹿言ってんじゃないっての!
そういう人たちに私はこう聞くことにしている。「引退って、望んでするものなんですか? スポーツ選手だって本当は誰も引退したくないんじゃないですか? 体力的に無理になってイヤイヤ引退するから引退なんじゃないですか? 引退したくてするような人は最初からプロになれていないんじゃないですか?」って。
早く引退したいとか働きたくないとか言っている経営者は頭の中にお金しかないんだろう。私は違う。新しいことを覚えたり、経験値が増えて自分が強くなったりする瞬間が気持ちよくて仕事をしているから。お金が仕事の喜びではないから、引退なんかまったく考えない。
私が20代の頃だ。カメラレンズメーカーのシグマの山木道広社長(当時)が東京本社から福島県の会津工場に行くのに、わざわざ在来線の鈍行で移動していた。社長だから新幹線のグリーン車でピュッと行けばいいのにって思うよね。でもあれは、今同じ年代になってわかったんだけど、自分の勉強のためにそうしていたんだよ、たぶん。BtoC事業の経営者が大衆の生活を観察しなくなったら終わりだと知っていたんだ。お金ができたから引退しよう、じゃなくて、もっと勉強して賢くなろうとしていたんだ。
あの社長の行動の意味が、今ならわかる。私も世の中の動きを勉強して、もっと強くなりたい。
■7月15日(水)15時〜19時
にいがた勝人塾リアル
事務局 おぐま式POP塾
https://www.facebook.com/events/198645198190320/
■7月28日(火)
「2020後半戦に向けて時流適応力相応一番主義」
第44回サトカメエキサイティング ウェビナー開催
https://bit.ly/3fg4DRo
■youtube佐藤勝人チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw
■オンライン講演・オンラインセミナー依頼のお問合せは
nsatou@satocame.com
vol.45 コメダ珈琲と無観客試合とシグマの社長
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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