皆さまこんにゃちわ。大川です。
朝晩肌寒くなりましたね。
さすがにプールに浸かって仕事をするのは気が重くなってまいりました。
本来6回の予定で開始したこの連載も、今回で7回め。じわじわと好事家の皆さまに愛されて、
おかげさまで[延&長]となりました。
とはいえ毎回100時間ほどかけて書いていることもあり、そろそろもう少しシンプルな書き方を
見つけないことには身体がもたないぞ。と思ってみたものの、質こそすべて、手は抜けない。
今日もまた、つり革につかまって口のなかに牛乳含んで読んでくれているあなたのために。
そして、その向かい側に座っているオッサンの頭にオールミルクが飛ぶように、[全&力]で
お答えしていこうと思います。
まずはひとつめの質問から。
こんにちは。
都内でモデルをしているさおりと申します。
先日、彼氏に頼まれてiPhone6の行列に並んでいたところ、列の4人前方に大好きだった元カレを
見つけてしまいました。
私たちが付き合っていたころ、ベンチャーを始めたばかりの彼はいつも夜遅くまで
戦ってました。
来る日も来る日も帰りが遅く、一緒に食事をとる機会もままならず、すれ違う夜の数だけ、私は彼にやさしくしてあげようと、いつも考えていました。
ある年の冬のこと。機嫌よく彼の帰りを待ちながら胸の部分に「上場」と書かれたセーターを
編んでいたところ、仕事から戻った彼に烈火の如く怒られました。
何について怒っているのかわからない私が、
「仕事とあたしどっちが大事なの!」 と絶妙な質問を投げかけると
「比べられるわけないだろ!!!」 と、大味な答えが帰ってきました。
いま思えば、その頃から2人のすれ違いは始まっていたのかもしれません。
最後には私がiPhone4sを投げつけて、フローリングに飛び散るガラス。沈黙の続く狭い部屋で、
ルンバが「チャリチャリ」と吸っていたのは私の涙だったのかもしれません。
そんな2人が、デング熱の射程距離内で、夜通し体育座りをする奇跡。
4sで終わり、6でまた始まる私たちのストーリーは、ジョブス後のアップルに初めて訪れたグッドニュースだと言えるでしょう。
まーくん! わたし! いまでも! いまでもガラスが割れたままなの! あと! 心も!
そう叫びながら駆け寄って、会えなかった時間をあれこれとおしゃべりできたら、きっと素敵な時間つぶしになるでしょう。だけどもう、私には失うものが多すぎる。
今の彼との素敵な関係、行列の順番、その他いろいろ。
すぐ目の前で体育座りしている元カレを眺めつつ、そんなことを考えていたらいつの間にか眠りに落ちて、目が覚めた時には6の販売は終了してました。
そこで質問です。
次の入荷っていつですかね。
しらんわ!(°ω°)
こんにちは。
こないだおいしい牛乳を飲んでみたんですが、正直違いがわかりませんでした。
おいしい牛乳っておいしいんですかね。
(36歳 主婦)
はい。すばらしい質問だと思います。
テレビ番組に対する視聴者からの行き過ぎたクレームで、メディアの断言が少なくなった
この時代、主観を失った大衆に毎日断言してるのは、毒舌タレントと牛乳です。
選ぶ基準も時間もない者にとって、繰り返されるメッセージはなによりも浸透しやすくて、
スーパーの棚にいくつかの商品が並んでいるときは、「おいしい」という言葉だけを頼りに
モノを選ぶようになりました。
おいしい牛乳、おいしい豆腐、おいしい発泡酒。大阪には「おいしい人妻」という店までも。
しかし人生において最も大切であるところの「おいしい」という価値判断を、他人の意見に委ねていいわけがありません。
自分にとっての「おいしい」ものを見つけようとするプロセスこそ、豊かな人間性を形作る上で不可欠な遠回りであり、おいしいものとそうでないものの違いはどうして生まれるかという因果を叩き込む絶好の機会でもあり、そうした経験に乏しい者は必ず「平たい大人」として大した仕事は任されない。のも世間の常でございます。
私も本来、何かを選ぶ際には統計的な手法を好む傾向にありますが、最終的に自らの意見を決定するにあたってはしっかりと自分で試さずにいられない性分でもあり、おいしい牛乳が出た当時には真っ先に買いに行って数々の銘柄を飲み比べてみたものでした。
その結果おいしかったのは、
「木次パスチャライズ牛乳」
と
「ファミマの牛乳 500ml」です。
木次はグラノーラに合い、ファミマは苦めのチョコパンと合う。おかげさまで、これだけは自信を持って断言できるようになりました。
が、
いま検索してみたら「ファミマの牛乳 まずい」という検索予測が出ています。
何を言う。
ファミマの牛乳は旨い。これだけは口のまわりを真っ白にして言いたい。関西だけかな。おいしいと思うんだけどな。まぁいいや。皆さまのご意見お待ちしております。
*
さて今月も、家族間のようなカジュアルな質問ありがとうございました。
こうなるとアレですね。経営の質問されるよりおもしろくなって来ています。
というかそもそも、サステイナビリティやアカウンタビリティばかりを気にする経営者よりも、好き嫌いに振り回されながら生きていく人のほうに魅力を感じるのだから仕方ありません。
引き続き、皆さまからのご質問お待ちしております。
それではまた来月。
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執筆者プロフィール
大川弘一 Koichi Okawa
経営コンサルタント/ポーカープレイヤー
経 歴
1970年8月生まれ。慶應義塾大学商学部中退後、酒販コンサルチェーンを経て独立。1997年にメルマガ配信事業の株式会社まぐまぐを設立し、現在までにユーザー数は1300万人超を数える。1999年には子会社でナスダックに上場。2013年に代表職を退き、経営コンサルタント業と並行して、ポーカープレイヤーとして世界各地を巡っている。
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(2014.10.8)