「おっさんレンタル」のスタートは、2012年。ファッションプロデューサーの西本貴信氏が、電車の中で女子高生の「おっさん、キモい」という辛辣な会話を耳にしたことがきっかけでした。西本代表は当時45歳で、失礼ながら、まさに“おっさん”世代だったこともあり、「おっさんが軽視されている！　地位を向上しなければ！」と一念発起。自分自身を商品に、「エロい」「汚い」というおっさんのイメージをくつがえすべくサービスを立ち上げました。すると「誰が借りるんだ？」というツッコミと共に、メディアで話題に。それが追い風にもなり、約5年で、おっさんの登録数は全国に約80名、月の利用件数は約600件にまで成長したのです。
 
それにしても、本当に、誰が、何のためにおっさんをわざわざ借りるのか？　西本氏によると、意外にも利用者の多くが若い女性で、名目は多々あれど、最終的には悩み相談がほとんどとのこと。もしかしたら友人や家族など身近な人には言いづらいことも、他人であり、経験豊富なおっさんなら逆に話しやすいのかもしれませんね。
 
とはいえ、知らないおっさんと直接会うのは、特に若い女性は不安も大きいはず。しかし、そこは西本氏自らが面談などを行って採用しているので、ご安心を。「エロくない」「清潔感がある」を重要項目として見極めているそうです。あとは、“イケてると勘違いしているおっさん”であること。その理由は･･･「本当にイケてるおっさんじゃおもしろくない」から。確かに。こうした採用基準が功を奏しているからか、おっさんのバリエーションが豊かで評判も上々、髙いリピーター率を誇っています。

実は「おっさんレンタル」、商品であるおっさんたちにもメリットが。例えば、家庭で居場所がない、定年を迎えて時間を持て余しているというおっさんたちの新たな居場所にもなっているのです。さらに、登録することで利用者の目を意識して身嗜みに気を遣うようになるなど、あか抜けてイキイキしていく人が多数。利用者もおっさんもWin-Winという、画期的なサービスなんですね！　
 
ここまで聞くと、不安要素も減り、利用料も1時間1000円とリーズナブルだし、レンタルのハードルも下がったのでは？　でも、初めはどんなおっさんを選べばいいか、悩みますよね。そんなときは、西本氏いわく「最初は思い切って、年の離れたおっさんを選ぶとおもしろいと思いますよ。せっかくならおっさんの醍醐味を楽しんで！」と。
 
おっさんの登録数も増え、ますます充実していきそうな「おっさんレンタル」。西本氏に今後の展開をうかがってみると「日本には、イケてないおっさんがあぶれているので、雇用を創出していきたいですね。ゆくゆくは、日本のおっさんを輸出していきたい」と、グローバルなヴィジョンを語ってくれました。また、「若い男性の利用も増やしていきたいですね。このままでは、若い男性がおっさんを嫌悪したまま、自分が嫌っているおっさんになっていく悪循環。このループを断ち切り、おっさんになるのもいいな、と思ってもらえたら大成功です」とも。
 
ちょっぴり謎に包まれていた「おっさんレンタル」。意外にも気軽に利用できるサービスであり、おっさんのイメージアップに貢献していることがよくわかりました。皆さんも、ちょっと人手がほしいとき、誰かに悩みを打ち明けたいとき、1度おっさんをレンタルしてみてはいかがでしょう？　また、「俺はイケている！」という自負があるおっさんは、登録してみるのもいいかもしれませんね。
 
 
おっさんレンタル
http://ossanrental.thebase.in/