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2014年(平成26年)1月6日、株式会社日本取引所グループ、株式会社東京証券取引所、株式会社日本経済新聞社が開発した新株価指数「JPX日経インデックス400」の算出が始まった。東証 (市場第一部、第二部、マザーズ、JASDAQ)に上場している銘柄のうち、3年平均ROE、3年累積営業利益、時価総額を主な指標として、「収益性が高い」と評価された400銘柄がJPX日経インデックス400を構成する。
JPX日経インデックス400は、経営内容を重視して銘柄選定が行われるという特徴がある。そのため、時価総額が大きく、各業界を代表するような企業でも、経営状態が悪ければ採用されない場合もある。初の銘柄選定においては、パナソニックや任天堂、大和証券グループなどが選ばれなかった。また、日経平均株価やTOPIXは東証市場第一部に上場している銘柄が対象だが、JPX日経インデックス400は二部上場企業や成長・ベンチャー企業向け市場であるJASDAQ、マザーズの銘柄も対象としており、初回はマクドナルド、楽天などが選定されている。
つまり、JPX日経インデックス400の構成銘柄に選定されること自体が、投資家に企業業績の良好さや成長の可能性などの魅力をアピールできる大きなチャンスなのである。となれば、この新指数は、企業側にとっても無視できないものとなりそうだ。
2014年1月から、少額投資非課税制度(愛称:NISA)が導入され、投資経験の浅い人々が株式に興味を持ち始めている。「JPX日経インデックス400の構成銘柄は収益性が高い。過去の経営実績も良く、投資するのに安心だ」という情報があらかじめ与えられることで、投資家たちの視線はJPX日経インデックス400を構成する銘柄に集まりやすくなる。
また、「複数の独立社外取締役を選任、国際会計基準(IFRS)の適用、決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示」などの条件を満たす銘柄にはスコアの加点が行われ、選定されやすくなる。構成銘柄に選定されたという事実自体が、「国内だけでなく海外の投資家にもわかりやすく情報開示を行っている」とアピールできる材料となるのだ。
JPX日経インデックス400に選定され、「収益性が高い」と評価された企業には、投資家の資金が集まりやすくなる。そのため、成長のための投資をさらに行いやすくなり、さらなる業績の拡大につながる。いっぽう、選定から漏れた企業は、生き残りをかけた経営改革を行い、業績の向上に努める必要に迫られる。
このように、JPX日経インデックス400の導入が、個々の企業の成長と市場の活性化を促すのである。
JPX日経インデックス400が企業の収益性を測る指標として重視するのが「自己資本純利益率(ROE)」だ。ROEは「当期純利益 (あるいは経常利益)÷ 自己資本 × 100(%)」で計算され、ROEが高い企業ほど資本が効率的に運用されていることになる。逆にROEが低いということは、資本がありながら有効活用されていない、という意味である。現時点での企業の収益性が低いだけではなく、資本を活用できていないことから、成長性も期待できない企業と見られてしまう。
海外投資家は、投資判断の際に各企業のROEを重視する。しかし、総じて日本企業のROEは海外に比べて低く、株価純資産倍率(PBR)などを重視する経営が行われてきた。このような状況を打開すべく、ROEを高める努力を強める企業の増加を狙い、JPX日経インデックス400が導入された。株式市場がグローバル化している現代においては、日本国内だけでなく、海外投資家の注目を集められるか否かが、企業の存亡にかかわってくる。そのため、日本企業もROE重視の経営にシフトしていく必要があるのだ。