B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

トピックスTOPICS

時代は技術革新を求めている。 橋本流“イノベーション基礎学”のススメ

 欧米の絶対的な支配欲思想が絶対的資本市場を作り上げて、世界を席捲し支配しようとしたが、現在の世界経済の状況はその支配欲思想が崩れかかっている状態であって、IT金融技術が崩壊したわけではない。
私は、IT金融技術は新秩序・新制度に合わせて新しいニーズが創出され、さらにパワーアップが図られて、より便利で機能的な役割を果すようになると確信している。
つまり、支配欲による権益の既得化は徐々に姿を消し、すべてが情報開示されて協調社会ができるようになる。その一つの顕れがオバマ大統領の出現であるともいえる。
アメリカ国民が、オバマ氏を大統領に選んだ意味を読み解くと、次代は、日本のような君民一体の協調思想が世界を動かすようになると予測できる。

さて、私の独断と余談が長すぎた。
人間の営みと自然界の動きの話しに戻そう。

 ここでも、水をお金に置き換えると理解しやすい。お金は、人間の美しさも汚さをも巻き込んで浄化させながら経済として成立している。お金の流れが止まると、金融システムの崩壊が起きて経済が破綻する。お金は、たえず浄化させながら世の中に流していかなければならない。水と同様である。
また、山に登れば天の高さに気づくし、谷の深さが分かって慎重になる。そして、山に登れば必ず下りがある。どこが山の頂上かということが分かれば、下りのときの急勾配にも手を打っているはずである。それが、自然への畏怖、敬いというもので自分への戒めに繋がっている。
水を止めることなく、水を流しながら利用し活用することで生命が育まれる。山と対峙するのではない、山と仲良くなって、山と一体になることが山を楽しむことである。
人生も、これと同じことだ。人生の中に仕事があるのか、仕事の中に人生があるのか、の議論では解決できることは何一つとしてない。
人生と仕事は別次元のものではなく、同一次元でなければならない。つまり、いずれかが絶対的な支配をするのではなく、人々と協調しながら生きていくところに「真の知恵」が身につくようになる。真の知恵は、イノベーションを生む力の源泉になる。

バカの道に徹しなければイノベーションは起こせない

 さて、人の世の動きは、自然界の原理原則、摂理にしたがって動いているということが理解できてくると、自分の行動が“考動”になる。熟慮断行ということであり、その熟慮断行が、先見性を身につけることになる。そのような熟慮断行がイノベーションに繋がっていくというのが自然界の原理原則である。
ある日突然に天から降って湧いてくるものでもなければ、棚からボタ餅でもない。毎日の連続性の中から滲み出てくるものであり、四六時中、考えに考えて、さらに考え抜いて、夢にまで見て、ホトホト諦めようかと思い悩んだ挙げ句の中から出てくるものだ。
そういう地道で、一生、良い目が見られないかもしれないという「バカの道」に徹しないかぎり、本物のイノベーションになることはない。
「一発、ヤマを当ててやろう」などという邪悪なココロでイノベーションを起こそうとしても、それは、できない相談だと言っておこう。
死ぬかもしれない、不幸のどん底に陥るかもしれない。そのような死にもの狂いの覚悟が必要だと、イノベーションを起こした人は異口同音に言う。
最初は、異端児扱いかバカ扱いされるのが関の山だ。艱難辛苦を乗り越えて、また辛酸を舐めるのが嫌なら、イノベーションを起こすというようなことは考えない方がよい。
苦労してでも、やり遂げるという堅固な意志があるのなら辛抱して続けることだ。成功するまで続けることだ。だから、失敗をすることはない。
楽は苦の種、苦は楽の種という考え方をココロに刻んで、イノベーションを起こしてほしいものだ。

 

 

 

 

 

 

 執筆者プロフィール 

橋本 英夫 Hashimoto Hideo

株式会社 ハッピー 代表取締役

 経 歴 

1949年、兵庫県生まれ。高校卒業後、大型プラントで使用するバルブや弁のメーカーに技術者として就職。蒸気の流体制御機器の設計に携わる。75年にECCハシモトを設立、浄水再生装置の製造を始める。79年石油系溶剤浄油再生装置を開発し、(株)京都産業を設立。「ハッピークリーニング」の名称でクリーニング店の経営にも乗り出す。その後、2002年に(株)ハッピーを設立し、従来のクリーニングの常識を覆す『ケア・メンテ』という新業態を創造して普及に尽力している。2005年、一般消費者に対する啓蒙活動団体としてNPO法人日本洗濯ソムリエ協会を設立。2006年に、従来の洗浄理論を覆す世界初の「無重力バランス洗浄方法」を発明し、方法論特許・装置特許を取得。シルエットや風合いを保ったままの「水洗い」を実現し、地球環境に優しく人体に悪影響を及ぼさない画期的な洗浄方法として、世界からも注目を集めている。

 著 書 

  

「サービス業の底力(ダイヤモンド社)」

「小さな会社の負けない発想(致知出版社)」
「クリーニング店の秘密(東邦出版)」
「クリーニング 深・進化論(近代文芸社)」など

 オフィシャルホームページ 

http://www.kyoto-happy.co.jp/

 

関連記事

最新トピックス記事

カテゴリ

バックナンバー

コラムニスト一覧

最新記事

話題の記事