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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

常に試行錯誤することが
モチベーションを保つ秘訣

 
1月20日からテレビ東京にて放送されるドラマ、『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』に出演する中村さん。実話をもとにした、経営難の病院再生を描くドラマにおいて、銀行の副頭取である米田正光役を演じる。
 
 

第一印象で説得力を感じてもらう

 
年齢を重ねるとともに、役職がある立場の役を演じることが増えました。今回は銀行の副頭取です。でも、俺自身は歳の割りに貫禄がなくて(笑)。副頭取の貫禄が出るよう、髪の毛を白く染めたり、眼鏡をかけてみたりすることにしました。セリフを言う際は、少しだけゆっくり喋るように気を付けています。そうやって、“副頭取である米田正光”という役柄に説得力を出そうと試みているんです。
 
そのためには、演技はもちろん、一目で役柄がわかるような見た目をつくることも、とても重要なんです。例えば初登場の際に「この人、副頭取っぽくないな」という印象を与えてしまうと、その後どれだけ良い演技をしても説得力がなくなってしまう。ですから、第一印象で説得力を感じてもらえるように気を遣っているんです。
 
米田正光は、小泉孝太郎さんが演じる有原修平や、高嶋政伸さんが演じる倉嶋亮介の良き理解者という役柄です。病院を再生させたい2人を優しくサポートします。でも、ビジネスマンとしてただ優しいというわけにはいきません。時には厳しいことも言うでしょう。そういった自分自身に与えられた役柄、役割をしっかり表現したいと思います。
 
 
中村さんが俳優としてデビューしてから45年。経験とともに変わってきたことについてうかがった。
 
 

全力で取り組んだからこそ得られる達成感

 
役者にはいろんなタイプがいて、俺の場合はフラットに演じるタイプ。役の中で、自分自身も表現しているんです。俺は、どれだけ役づくりをして演じる役に自分を近づけても、“地”は隠せないと思うんですよ。笑い方や泣き方などの喜怒哀楽には、どうしても“地”が出るんじゃないかな。だから、“地”が出るという前提で演じるようにしているんです。
 
若い頃は思うがままに芝居をしていました。楽しかったし、ガムシャラに突っ走っていたからこその良さがあったと思います。でも、役者として経験を重ねたからこその良さももちろんあります。「今、カメラにはこういう顔が映っているだろうな」と、演じているときの自分を客観的に見られるようになったんです。そうして余裕を持って芝居ができるのは楽しいですね。
 
経験を重ねるにつれて演じ方に変化は出てきたものの、仕事に対する価値観にはあまり変化がないように思います。昔も今も、力の抜きどころがわからないんですよ(笑)。特にコンサートでは、喉の調子が悪いときでも全力で歌ってしまいます。バンドのメンバーには「2日後にも歌わないといけないのだから、喉のために少し力を抜いても良いのでは?」と言われることもありますね。でも、器用にできないんです。常に全力投球してしまいます。
 
ただ、今になって過去を振り返ると、常に全力だったからこそ良かったんじゃないかなと思えるんですよ。全力でやってきたからこそ見える景色があるんです。どこかで手を抜いて仕事をしていたら、これだけの達成感は得られていなかったでしょう。一つの撮影、一つのコンサートを終えたときに得られる達成感や充実感が、俺のモチベーションになっているのだと思います。