B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
2007年に劇団PATHOS PACK(パトスパック)を結成し、出演はもちろん企画や脚本、演出まで手がけていた宇梶さん。話をうかがうと、若い世代のために自身の経験を活かし、情熱を持って教育に携わっていることがわかった。
 
 

同じ思いを持って積み重ねていく集団

 
PATHOS PACKを結成する前は、10年ほど1人で舞台の企画や制作、脚本、演出を手がけていたんです。出演してくれる役者さんを集めて、僕自身も舞台に立っていました。でも、その舞台に出てくれる他の役者さんは、公演が終わったらそれでお別れなんですよ。そして次の舞台でまた人を集めて・・・というサイクル。そうじゃなく、公演ごとに1つの組織として経験を積み重ねて行きたいと感じましてね。それで劇団を結成しようと思ったんです。
 
劇団員の中には、全くの素人だった人もいますよ。それでも何年も一緒に活動していると、ふとしたときに、僕の想像以上に成長していたのだと気付くことがあります。彼らが成長していく様を見られるのはとても嬉しいですね。みんな負けず嫌いなので、僕が叱ると「すぐに取り返そう」「何かおもしろいことをやってやろう」と向ってきてくれます。生意気なくらいですよ(笑)。でも、そういう関係でこそ、良い作品が生まれるんじゃないかな。
 
劇団の中では、常に言葉遊びのようなことをしていて、いくつか使ってはいけない言葉があるんです。例えば、「現実的」や「難しい」、「一応」という言葉。これらの言葉を使わないだけで、物事が前に進むのが早いんですよ。現実的とか難しいなどの言葉って、保険のために使うことが多いですからね。あとは、自分で決めさせること。結成当初は、劇団員が「衣装はこれを買えばいいですか?」「小道具はこれでいいですか?」と何かにつけて僕の許可を取りに来ていました。でも、その度に「お前らで全部決めろ。失敗してもいい」と答えていたんです。失敗しても、経験を積んで次に活かせればいいんですよ。
 
人はどうしても失敗したくないし、楽な道を求めてしまう。それは仕方がないと思っています。でも、辛い思いをしなければ、心が磨かれることはありません。光の素晴らしさだって、闇があるからこそわかるものでしょう? だから、劇団員には積極的にチャレンジしてもらいたい。失敗したらそこからみんなで学んでいこうという方針なんですよ。これからも、工夫や挑戦を続け、みんなで劇団の経験を積み重ねていきたいですね。
 
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク JUNKO Nishio/スタイリスト 皆川“bon”美絵)

衣装協力
YOHJI YAMAMOTO(ヨウジヤマモト)
問い合わせ先
ヨウジヤマモト プレスルーム
03-5463-1500
 
 
 
glay-s1top.jpg
宇梶剛士(うかじ たかし)
1962年生まれ 東京都出身

中学生の頃は野球部に所属。将来の有望選手として期待されていたものの、高校時代に暴走族に加わり、当時日本最大の暴走族とされていた組織の総長となった。少年院でチャップリンの自伝と出合ったことをきっかけに更生、俳優を目指す。長い下積み時代を経て、1980年代後半、テレビドラマを中心にブレイク。現在はテレビドラマや映画、舞台に数多く出演している。著書に『不良品』(ソフトバンクパブリッシング)、『転んだら、どう起きる?』(大和書房)がある。
 
公式サイト
http://abebe-next.com/ukaji.html
 
公演情報
劇団PATHOS PACK Vol.18
「合言葉」
作:宇梶剛士
演出:今奈良孝行
公演期間:2017年2月15日(水)~2月19日(日)
会場:下北沢シアター711
公式サイト
http://pathospack.net
 
 
(取材:2017年2月)