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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

職人魂がつくり上げる 
高品質なアルミ鋳物

 

高尾山の街灯を見て喜びが湧き上がった

 
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熟練の職人たちがものづくりに励んでいる
矢部 アルミの鋳造は、すぐに覚えられる技術ではないのでしょうね。
 
田中 そうですね。父からは「いっぱしの職人になるには、10年も15年もかかる」と言われました。実際に仕事の腕が上がってくるまで5、6年はかかったでしょうか。ただ、私の中には、仕事が軌道に乗っても、気持ちが晴れない点があったんですよ。
 
矢部 とおっしゃると?
 
田中 先ほどもお話ししたように、弊社の製品はそのほとんどが工業用機械の部品など、目に見えないところで使われるものでした。一生懸命につくっても、いったいどこで使われているのかわからない部品ばかりというのは、ちょっと悲しいものがありますよね。そんな思いを抱えていた2002年頃、ある方から「高尾山に設置する街灯のカバーをつくってほしい」と声をかけられたんです。
 
矢部 たくさんの人の目に触れる製品をつくりたい。そんな田中社長のお気持ちにぴったりの注文ですね!
 
田中 はい。無事に製作し現地で街灯を見た瞬間に「このカバーは、俺がつくったんだ!」という喜びが湧き上がりました。もっといろいろな製品をつくり、多くの方の暮らしに役立ててもらいたい。そんな気持ちが原動力になってモニュメントや生活用品など、様々な分野のアルミ製品を手がけるようになったんです。
 
矢部 夢のあるお仕事が増えると、技術がさらに上達してやりがいも感じられるようになるでしょうね。現場の職人さんたちも、田中社長と同じお気持ちなのでは?
 
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田中 ええ。スタッフも私と同様、人に見てもらえる製品をつくることができて喜んでいます。「このモニュメントはどこに設置される」と教えると、実際に現場まで見に行って写真を撮ってくることもあるんですよ。そんな体験を通じてものづくりの楽しさに気付いてくれるのが、私にとっては1番嬉しい瞬間ですね。
 
矢部 田中社長には、息子さんがいらっしゃるとお聞きしました。一緒に現場を見に行っったことはありますか。
 
田中 いやあ、私も「これはパパがつくったんだよ」と言いたくて連れ出すことがあるのですが、まだ6歳なので特に反応してくれません(笑)。
 
矢部 でも、電車のバンパーならきっと「パパすごいね!」と言ってくれますよ。1度、駅まで連れて行って教えてあげるといいのではないでしょうか(笑)。