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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

高度な防水技術を
次世代につなげる

 

苦労を乗り越えて起業を果たす

 
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様々な経験や苦労を経て、現在の伊藤防水がある
伊藤 実は、業界に入ったのはたまたまだったんです。前社を退職して職を探していた時に防水工事業界の知人に会ったことを機に、軽い気持ちで親方の下で働くことに。ちょうど32歳でしたね。
 
石黒 32歳からの弟子入りって、一般的に考えると遅いスタートですよね。周りには10代の方もたくさんいたでしょうし、いろいろな面で苦労されたのでは?
 
伊藤 10代から20代半ばの若者がメインで働く業界ですから、オジサン扱いされましたよ(笑)。でも、「必ず、この仕事で身を立ててやる」って、かえって発奮しましたね。
 
石黒 若い先輩社員の“しごき”に耐えながら仕事を覚えた後、晴れて独立なさったのですね。
 
伊藤 はい。独立後、今の会社を立ち上げるまでには個人事業主として仕事を請け負っていた時期もありまして。実はその頃、請負先に報酬を踏み倒されたんです。下請け会社への支払いもありましたから、結局、莫大な借金を抱え込んでしまい、約2年間、返済に追われました。
 
石黒 2年も! その間も、防水工事の仕事は続けられたのですか。
 
伊藤 もちろん。ただ、防水工事の仕事1本では到底、借金はなくならないので、副業もしました。新宿御苑のトンネルの夜間工事の仕事に就けたので、昼夜で仕事をかけ持ちし、トンネル工事が休みの日は、他にもアルバイトをしましたね。
 
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石黒 そうでしたか。さらっとお話しされていますが、当時、そうとう辛かったとお察しします。
 
伊藤 食事時間がまともに取れない程働き詰めだったので、体を壊す寸前でした。でも、おかげで借金は完済できましたし、借金は授業料だと思うことにしました。何せ、独立当時は、資金繰りを考えずに仕事をしていましたからね。良い経験ですよ。
 
石黒 そう言い切れるのは、さすがです。並々ならぬご苦労があったからこそ、今の伊藤防水さんがあるのだと思いました。その後、個人事業から会社を法人化されたことで、事業そのものに何か変化はありましたか。
 
伊藤 ありました。ことに、建設業許可証を取得してから信頼度が上がり、非常にスムーズに仕事を請け負えるようになりましたね。もともと免許を取れるだけのキャリアもありましたから、法人にして真っ先に許可証を申請したのです。
 
石黒 キャリアはそれまでの経験や苦労の積み重ねですから、ご自身のそういう面を誇りにできると思います。私も、伊藤社長のように、子どもに誇れるような仕事をしていきたいですね。