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コラム 一職業会計人の "軒昂奉仕" vol.12 埋蔵金はなぜできるのか? 一職業会計人の "軒昂奉仕" 公認会計士・税理士

コラム
 

埋蔵金はなぜできるのか?― 徳川埋蔵金伝説から霞が関埋蔵金まで―

 
 
「財布の中側から人を見る職業」 について40年。まあ公認会計士や税理士といった職業会計人からすると、人のお金の多寡は、全く自分のものではないがゆえに、きわめて客観的で、別な言い方をすれば、無味乾燥に見えてしまうこともあります。
 とはいえ財布の中から、あるいは金庫の中から人間観察をするというのも、興味の尽きないテーマなんです。
 先月触れたように、今月はそれを取り上げようと思いましたが、徒然なる、、、言葉をかえれば、気ままなる「お金にまつわるエッセイ」 ですので、ちょっと回り道をします。「人は貯まったお金をなぜ隠したがるのか?」 が今月のテーマです。また、隠しているつもりではないものの 「貯まってしまったお金」 についても考えてみたいですし、なぜそのようなお金が貯まるのか、その構造も考えてみましょう。
 
 お正月でもあります。夢のある?埋蔵金探しでもしてみましょうか。
 
 

1、趣味の会等の埋蔵金

 
 世の中には実に様々な、趣味やスポーツの世界での同好会等が存在します。ゴルフの会、音楽関係のサークル、勉強会やら研究会でのサークル。私が関係しているものでも、活動停止中のものまで含めれば数え切れません。
 そして、活動資金捻出のため徴収された会費や、事業ごとに徴収された特別会費等も、イベントでの余剰金等も、年数を経るほどに貯まっていきます。日本国中に数千万と存在するかもしれないこれらインフォーマルな会合の残高の会計報告をしたら、大変に莫大な金額になるはずです。これも私は埋蔵金の一種に考えます。
 活動停止している会の埋蔵金こそ、真の埋蔵金でしょう。これらのお金はどうなっていくんでしょう? 最後に生き残った人間のみが知ることですね。
 会計士等の主催している会合だと、職業柄、定期的に会計報告がありますが、ルーズな人が多いと困ることになりそうです・・・。
 
 

2、 一般家庭の埋蔵金

 
 一般家庭ではいわゆる 「ヘソクリ」 が埋蔵金に当るのでしょう。こちらは、皆さん方の妻(又は夫)のみが知るところです。
 我々会計人は、相続税の申告で申告除外されてしまった預貯金が税務署の調査によって発覚する場面に時々出会います。その際必ず問題になるのが、家族名義の預貯金です。生前に奥さん名義や、子供・孫名義の通帳を作成しているケースが多いですね。必ず税務当局ともめます。説明がつかなければ、相続財産にほとんど加算されますね。気をつけましょう。まあ死亡直前3年間ほどの預金通帳の大きな動きには注意しましょうね。
 
 

3、一般企業の埋蔵金

 
 会社の埋蔵金というと違和感を感じますが、いわゆる「隠し金」が埋蔵金に当るのでしょう。これは昔に比べたら激減しているはずです。まず景気が悪いことが第一、次に 「コンプライアンス」 概念が上場会社等の大手企業になればなるほど、昔に比べれば考えられないくらいに向上していること等も原因しています。
 まあ隠したい金もない、というのが実態かもしれませんが、昭和の終わりから平成の初期、バブル経済華やかりし頃に土地バブルで狂乱して地価が高騰した時は、とんでもない輩が存在していたことも事実です。
 なぜか?人は突然に大金をつかむと、隠したがるんですね。あるいは派手に使ってしまうんです。そして節税をしたがる。節税ならまだしも脱税まがいのことまで考える。私が住み、かつ事務所を置いている東京都港区も、 バブル期は街ごと地上げにあい、かつての街並みがそっくり消えてしまいました。あの当時、何十件もの譲渡所得の申告をしました。みな節税、節税といって、またそれを勧める不動産会社や建設会社もいて、事業用資産の買換えやら居住用資産の買換えで、都心から首都圏、そして札幌、福岡と、地価が高騰していきました。
 当事務所のクライアントも、地方に数えきれないくらいのマンションを購入したものでした。その後地価は下がり、今は含み損を抱えて苦労しているようです。結局は、何もしないで税金を払った人が今もゆったり生活しているんですね。でも、そういう方はほとんどいなかったのです。
 
 

4、公益法人等の埋蔵金

 
(1)特定目的引当預金
 埋蔵金というと聞こえが悪いので言い換えます。「特定目的引当預金」 とでも言っておきましょう。現在民法34条による公益法人は存在しなくなりましたが、従来からあった多くの公益法人には、税制上の恩典もあってか、会館建設引当預金とか、××周年事業引当預金とかの 「特定目的引当預金」 が多数存在します。これらはもちろん目的があって存在しているわけですが、内部留保基準に引っかからないようにするために設置したものもあります。こうなると、目的があるようで無い、まさに 「埋蔵金」 に近いものになってきます。
 
(2)特別会計
 公益法人には実にたくさんの特別会計が存在します。国等からの補助金を受けるにあたって特別会計の設置を義務付けられ、別管理を要請されて特別会計を設置する場合もあります。
 私に言わせれば、この特別会計こそが埋蔵金発生の根源であると最近つくづく感じています。
 
 
 
 

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