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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.35 社会と企業構成の二極化を見据えて決めたこと

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.35 社会と企業構成の二極化を見据えて決めたこと 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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こんにちは、佐藤勝人です。前回は、新幹線の時間に余裕がある時は毎朝本部に出勤してから出張に行くことにした話をしました。それを続けて3ヶ月。いろんな問題点が見えてきたけど、今回は、中でも特に「根本から考え方を変えなきゃなぁ」と感じたことの話をしようと思います。
 
 

働き方改革を素直に喜ぶ人は
その本質をわかっているのかなぁ?

 
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9日に行われた愛知県岡崎市での勝人塾。岡崎は19年前からの縁
先に結論から言うと、今後サトーカメラは、アソシエイトに仕事の技術は教えますが、自分から進んで勉強する意識のない人たちにその意識を変えさせるような教育をするのは控えることにしました。そのつもりがない人にその教育法はもう時代錯誤だから。「もっと頑張れ! もっと勉強して一緒に上を目指そうじゃないか」って言って背中をポンと叩いたらもうパワハラと受け取られちゃうようじゃ、何をどうやってもしょうがないからね。
 
私は現場労働者から成り上がった、現場叩き上げの人間だ。仕事をし始めたら自然と社会の構造がわかっちゃって、そのままでは嫌だったから、学生時代の出遅れを取り戻すために仕事を通して勉強し、自分の人生をやり直してきた。現場から這い上がった後も仕事と勉強をし続けることで、自らを世界で戦えるレベルにしていった。私みたいなメンタリティの人は昭和の頃まではむしろ普通だった。
 
でも今は、学校教育からもう、「上を目指そう」とか「社会のために頑張って働こう」とかいうことを教えていない。アナタの好きなことをしなさい、好きなことをやりなさい、夢を追いなさい、自分を労ることを最優先で考えなさい、と教えている。そういう教育を受けてきた子たちが社会に出たら、社会では「最低賃金を上げよう」とか「残業は悪だ」「週40時間以上働くな」なんていう掛け声が、さも当然の正義のように叫ばれている。
 
とどめが来春から施行される「同一労働同一賃金」だ。あれを手放しで喜んでいる人たちは、最低賃金を上げる話は日本の格差社会化を完成させる話だということをわかっているのだろうか。
 
今後は現場労働者として社会に出たらどこに行っても現場労働者で終わる時代になり、課長クラス以上は最初から一流大学出身者で占められて入社時から住む世界が別――。今の働き方改革はそんな階級社会をつくる側面があることに気付いているのかな。
 
そうなるということはつまり、完全なる階級社会へと移行していくわけだから、日本の“人間平等社会”を崩壊させ、欧米並みに現場労働者の子どもは現場労働者、下級職員の子どもは下級職員、エリートの子供はエリートという社会になる。もう現場叩き上げも成り上がりも私たちが最後の最後の世代だ。完全なる階級社会に変えることで、私たちのようなもともと下流の人が上を目指して頑張るケースがほぼ消滅するから、逆に骨抜きされて庶民は平和になる。
 
 
同一労働同一賃金で
中流を骨抜きに
 
階級社会への移行は、まあ仕方ない。平等に教育を与えて勝負させていた戦後の日本社会が特殊だったのであって、世界を見れば階級社会が標準だから。私が思うに、これから日本は金持ちと貧乏人に二極化するよ。今進んでいる働き方改革は政府が「そういう社会にします」と宣言したのと一緒だからね。
 
そうするとどうなるか。例えば昔はプロカメラマンなら、結婚式の撮影に行くと現場一つにつき10万円もらえたんだよ。それがデジタル化が進むにつれて一つの現場で3万円ぐらいになって、最近ではフリーカメラマンも入り交ざって1万円を切るぐらいが相場となった。
 
今では余程の著名じゃない限り、プロカメラマンでも一現場につき1万円ぐらいしかもらえない。職務としては同じ「ブライダル撮影」なのに一方が3万円で一方は1万円というのはおかしい、と言われてしまうからだ。写真の出来上がりを見ればその差は歴然なんだけど、同一労働同一賃金は「どんな写真を撮ってもらったか」ではなく「何を撮る仕事だったか」で報酬を考えるから必然的にそうなる。つまり、「職務の平等」の結果、買い叩かれる。しかもタチが悪いことに、同一労働同一賃金をもとに「撮影時間2時間2000円でよろしく」という時代になる。そして著名カメラマンは「どんな写真を撮ってもらったか」の段階を通り越して「誰が来たか」で主に評価されるから、買い叩きの対象にならない。
 
するとどうなるか。「名前で食っていける一握りのカメラマン2時間10万円以上」と、「その他大勢のカメラマン2時間2000円」という状況になるんだよ。今まではその間の1万円〜3万円もらえた中間層であり中流であり分厚い層でありがあったから業界の力強さが保たれたんだが、その中間層をスカスカにしてしまうんだ。
 
そして何より恐ろしいのは、国はすでにこの方向に舵を切っていることだ。以上の現象を企業構成に当てはめてごらん。中間がいなくなるというのはつまり、中企業は要らなくなるという意味だ。日本の企業構成は今後、大枠としては、一握りの大企業と小規模零細事業者だけで成り立つようになると思う。その中で自社はどう勝負するか、今から明確に決めておかないといけない。――この3ヶ月社内の雰囲気を観察して、つくづくそう感じました。
 
 
“一握りの大企業”に自らなる
厳しい決意の裏に秘めた思い
 
だから私は、サトーカメラをその“一握りの大企業”にしようと決めました。サトーカメラは今後、明確に大企業を目指します。そのことをここに宣言します。幸いに、これまでとことん幹部社員を育ててきたかいがあって、昨年は彼らを一挙に10人近く役員に昇格させることができました。経営者3名+常務3名+執行役員6名体制が整いつつあります。
 
彼らはもともと現場労働者の出身です。私自身も現場労働者の出身です。彼らも私も、現場労働者のままで終わりたくないから頑張って勉強して、レベルアップしてきました。会社も成長させてきました。そして今、現場労働者出身でも私たちと違って現場労働者のままでいたい意識の人たちが、社内にもたくさんいます。その人たちの意思ももちろん尊重していますから、彼らに無理な教育を注ぎ込むことは控えます。その分の労力をお客さんの幸せの追求にとことん振り向けます。冒頭で言った結論はそういう意味です。
 
もちろん、支援先や、勝人塾に学びに来る人たちにはこれからも全力で向き合います。その人たちは社会のために上を目指しているからです。本業を通じて本気で自分以外の人たちのため、世のために、庶民の気持ちがわかる最後の現場叩き上げだからこそ、いろいろな意味で業界の下剋上をやってやろうとしているからです。
 
私はそういう人たちと一緒に切磋琢磨していきたい。逆に言えばそうでない人たちとは付き合いたくない。厳しい言い方ですが、社会が劇的に変わる今、このことをはっきりさせておこうと思いました。そして私と同じく社会のために、上を目指したい人たちには、この場を借りてあらためて、「これからもヨロシク」と伝えたいと思います。
 
9月18日~10月31日までの勝人塾
■9月18日とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2374652292782489/
 
■10月4日・5日みやざき勝人塾IN西都
事務局/西都商工会議所
https://www.facebook.com/events/715241812280134/
 
■10月9日・10日おかざき勝人塾IN岡崎
事務局/岡崎商工会議所
 
■10月11日ぎふ勝人塾INぎふ
事務局/メイクオーヴァ
https://www.facebook.com/events/2214832475281174/
 
■10月16日とやま勝人塾IN黒部
事務局/フォトサロンドン
https://www.facebook.com/events/2576234145754919/
 
■10月23日とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
第14回「ニコニコチャンネル ニッポン勝人塾」(9/30 15:00 – 16:00)の告知
 
■講演依頼・セミナー依頼
個別支援等々佐藤勝人への問合せは
https://jspl.co.jp/contact/
 
 
 
繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.35 社会と企業構成の二極化を見据えて決めたこと

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役副社長/日本販売促進研究所・商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司・チーフコンサルタント/作新学院大学・客員教授/宇都宮メディアアーツ専門学校・特別講師

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2019.09.18)
 

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