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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.5 あなたの真実の答えは何ですか 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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こんにちは。佐藤勝人です。前回の「再会はいつも未来形」は特に好評だったみたいだ。勝人塾の皆さんも話題にしてくれたらしい。ありがたいよね。この連載は私・佐藤勝人の遭遇した時事をいろんな国々の話にからめて取り上げる連載です。毎回できるだけおもしろい話をしようと思っているけど、さて今日は・・・そうだ、この話から始めよう。
 
 

何事も最初は「本気」から

 
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キヤノン中国華南地区首席代表と情報交換&会食後、
キヤノン広州ショールームで。商圏人口3億人、Wow!
先月中旬、宮崎県の西都市「みやざき勝人塾」に行ってきた。呼んでくれたのはいつもの阿萬さん。今回も他の地区と違い、阿萬さんが経営指導員を務める西都商工会議所の主催だ。長らく全国各地で勝人塾を続けてきたけど、商工会議所の主催でやらせてもらえるのは昨年からスタートさせていただいている宮崎だけだ。商工会議所というものは管轄の区域が決まっていて、域外の人も参加する催しには手を出さないのが普通だから、これは結構珍しいことなんだよ。
 
あくまでも私の推測だけど、阿萬さんはこう考えたんじゃないかな。「地方の商工会議所はもっと外を向いてやっていかないと始まらない。毎回同じ参加者でやっていては馴れ合いになるし、とりとめなくいろんな種類のコンサルタントのセミナーを単発で聞いて何か勉強した気になって終わり、みたいなことだけでは、現実的に効果が現れにくい。業種も業態も、さらに商圏をも入り混ぜて、参加者同士も刺激しあいながら腰を据えてじっくり向き合わないと」って。要は、地方で頑張る小さな商工業者の発展を本気で考えているんだね。みやざき勝人塾が商工会議所の主催でやれているのは阿萬さんの熱意があったからこそだ。ありがたいよね。
 
ただ、じゃあこれが他の地域にも波及するかといったら、そう簡単にはいかないと思う。今までと違うこととか、誰か1人が目立つようなことは、地方ではやりにくいからね。とはいえそれが本当にその地域の商工業者の発展につながるのであれば、悪しき旧弊と闘うことも私の生涯をかけたテーマの1つだ。その時は何で闘うかはわかっている。“真・善・美”の“真”だ。
 
 

“善”より“真”が大事

 
“真”は「真実」であり、「真理」という意味でもある。宮崎の2週間後、青森県の八戸でとうほく勝人塾をやった時に「あなたは宮本武蔵みたいだ」と言われたのも、私が常に相手の真実にズバッと切り込んで闘ってきたことを指して言ってくれたんだと思う。
 
地方は倫理法人会やら盛和塾やら日創研やらの教えが浸透しているけど、勝人塾ではまったく違うことを教えてきた。だって、それらの教えのほとんどは、“真”は尊いものとして敬して遠ざけ、“善”を主体にして聖人君子を目指させるような教えだ。でも悪いけど、経営者という人種は便所掃除をしたくないから起業するんだからね。倒産して借金を負うリスクを冒してまでも起業する人というのは、一生ワーカーに甘んじるのが嫌だから自分で事業を始めるんだ。これはワーカーの仕事を下に見る、見ないということとは別の話だ。お客さんを喜ばせることが大前提として、「自分の力で立ちたい、もっといい生活をしたい」――これが経営者の本音なのに、「欲をつつしみなさい。一隅を照らしなさい。率先して便所掃除をしなさい」だなんて、ちょっと勘弁してくれよ。綺麗事でごまかすんじゃないっての!
 
これは経営者の例だが、従業員を指導する時だって同じだ。彼らの現実に寄り添わないと、寄り添って真実の答えを自分で考えて見つけさせないと、人は絶対に育たないんだ。
 
中国でカメラ販売店の中国人販売員を指導した時の話をしよう。私の前に、某大手ホテルチェーン出身の日本人講師がお客さんへの接遇を指導していた。その彼が「中国人はトイレの場所をご案内する作法ですら3日で忘れる。教えた通りやらない。民度が低い」と嘆いていた。私は疑問に感じたので現場で彼らの給与体系を聞き、歩合給制なのを確認したうえで、「民度が低いとは失礼だ! あなたが間違っている」と言ってやった。
 
つまりこういうことだ。彼らはお金を稼ぎたい。地方出身者であれば故郷はたいてい貧しいから、家族に仕送りもしてあげたい。そのために働いている。でも、その店では従業員に、客は値段に敏感だから値引きして売るようにと教えていた。だから例えば私が直接話を聞いてあげた若い男性の販売員なんかは、値引きするたびに「くそっ、俺の歩合給が減るじゃねえか」と思っていたという。当然トイレの案内なんか適当だし、ふてくされた接客態度だった。
 
私は彼に聞いた。「お前はなんで働いてるんだ?」彼は「お金が欲しい」という答え。「なんでお金が欲しいんだ?」「給料をいっぱいもらって田舎の家族に仕送りする」。私は彼に言ってあげた。「よしわかった。トイレの案内の仕方なんかどうでもいい。それより、お前は明日から一切値引きするな。1元も引くな」。彼は「ハイ!」と即答だ。そりゃ嬉しいよ。値引きしなくていいってんだから。でも私が、「バカ! 適当な返事するな! 値引きなしでどうやって客を買う気にさせるんだよ」と問うと、「う~ん」と考えてる。考えた末に「お茶を出します」という答え。私が「お茶を出すのは店で決まってることじゃないか。自分の頭で考えろ!」と言うと、また「う~ん」と考えて、「笑顔かなぁ」とつぶやいた。そこで私が「うん? 笑顔って、どういうことだ?」と聞いた。それで初めて、「くそっ! 歩合給が減る・・・」と思っているという本音が出てきたわけだ。
 
笑顔が足りないなんて問題はちょっと接客を観察してればすぐわかる。「もっと笑顔で!」と頭ごなしに指導することも誰だってできる。でも、それじゃ彼の答えにならないんだよ。相手の現実から出発して自分で考えさせるから、拍子抜けするような当たり前の答えでも、当たり前じゃない、彼にとっての真実の答えになるんだ。実際その彼は「笑顔」という答えを自分で見つけた翌週から笑顔の接客が身に付き、どんどん売り上げを伸ばしていった。値引きしないから稼ぎがよくなって家族への仕送りも増やせたし、会社も儲かり、結局は客も喜んだわけだ。本当の教育って、こういうことじゃないのかな。
 
相手の現実に寄り添わずに「接客は笑顔で!」とか「一隅を照らせ」と教えるのは“善”のやり方だ。“善”はいわば絶対安パイ。誰からもどこからも突っ込まれない。それで相手ができないことを目指させておいて、「できません先生。どうしたらいいですか」とくじけさせて、「指導にうかがいます。呼んでください。ついては料金ですが・・・」と持っていくのが世のコンサルの常套手段だ。それに比べ、自分の頭で考えて見つけた答えであれば、自分で見つけたということはギリギリやれるということだから、失敗しても「チクショーッ、次こそは!」となる。反省の仕方もわかる。私が“善”ではなく“真”を大事にするのは、善悪の基準は国や地域や立場によって変わるが、この真理は世界共通だってことを知ったからだ。
 
経営者には経営者の、従業員には従業員の、中国人には中国人の、現実に根差した本音がある。連載タイトルの「国々」というのはそういうことだ。それらの違いを尊重した先に真実が光るんだ。これからもいろんな国や人の真理を追求していくよ。ヨロシク!
 
 
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繫盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.5 あなたの真実の答えは何ですか

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2017.03.15)
 
 
 
 

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