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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
サイエンスショーを見に来る主な客層は親子。米村さんは、子どもたちに楽しんでもらうのはもちろん、一緒に来ているご両親やおじいちゃんおばあちゃんにも楽しんでもらえる内容を心がけているという。
 

何十年後により良いショーに

 
ショーでは、大人向けに少しだけ凝った実験もしています。そういう実験のときだけは、いつもよりも少し詳しい説明をしていますね。そういった難しい実験のあとには、すぐ子どもたちが参加できるクイズを行うなど、パッと切り替えることが大切です。ただ、大人向けにもいろいろ考えるものの、結局子どもが楽しむ実験は、大人も楽しんでくれるんですよ。
 
長年サイエンスショーを行ってきてわかったのは、実験そのものがそもそもおもしろいということ。だから、子どもも大人も、驚きを提供してくれる実験を見ていると楽しいんですよね。僕は、実験に新しさは求めていません。例えば数百年前に発見された法則でも良いし、1000年前に行われていた実験でも良いんです。そういった素晴らしい素材を、現代の方々に楽しんでもらえるように料理するのが僕の仕事です。
 
そのうえで大事なのは、しっかりと原理を理解することです。先ほども言った通り、ショーにおいてはなるべく原理などの話はしないようにしています。だからと言って、僕らが理解していないのはダメなんですよ。良いなと思った実験をただ真似るのではなく、しっかりと理解しているからさまざまな工夫もできるんです。
 
僕は今年で70歳を迎えます。最近思うのは、目の前の仕事を着実にこなしていかないといけないということ。2023年には、一度だけ体調不良でショーをキャンセルしてしまったことがありました。30年以上続けて来て、ほぼ初めてのことだったと思います。すごく悔しかったですよ。体調管理をこれまで以上に心がけて、今ある仕事を続けていく。それが現在の目標です。10年前くらいだったら、日本だけでなく世界でもショーを行いたいとか言えたと思いますけどね(笑)。
 
あとは、後進の育成についても考えています。サイエンスショーは、僕が一世代でつくり上げてきたものです。時間をかければ、もっともっと良いものにできると思うんですよ。一世代では、何事かを成すのはなかなか難しいものですからね。だから、次の世代に受け継いで続けていってもらいたいと思っています。何十年後にさらに楽しく、おもしろくなったサイエンスショーがあったら嬉しいですね。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク 武本萌)
 
 


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米村でんじろう(よねむら でんじろう)
1955年生まれ 千葉県出身
 
高校の理科教師を務める中で、学校教育の範囲を超えて人々に科学のおもしろさを伝えるために独立。フリーランスとしての活動を始める。さまざまな番組で科学実験を披露する中で人気を博し、講演会などにも呼ばれるように。集客人数が増えていく中で米村でんじろうサイエンスプロダクションを立ち上げ、本格的にサイエンスショーを開催するようになる。現在も現役でショーに出演し、盛況を博している。

米村でんじろうサイエンスプロダクション
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(取材:2024年11月)