「かっこいいに憧れて」が生きるテーマ
運と縁にアンテナを張り成長していく
俳優 萩原聖人
1987年、『あぶない刑事』にてテレビドラマに初出演し、『はいすくーる落書き2』(90)で注目を集め、その後も数々の作品に出演している俳優の萩原聖人さん。実力派俳優としての地位を確立している萩原さんは、麻雀のプロリーグ戦、Mリーグに参戦している「TEAM RAIDEN/雷電」所属のプロ雀士でもある。二足の草鞋を履く萩原さんは、インタビューで「どちらの仕事も運と縁にアンテナを張ることが大切」だと語ってくれた。
俳優にはラッキーが必要
僕はもともと俳優に憧れを持っていて、運の良いことにそれがそのまま仕事になりました。俳優業に理想を持っていたとするなら、自分の演技を人に認めてもらえる仕事ということでしょうか。活動を始めたのは10代の頃だったので、仕事とは一体どんなものなのかもイメージできていなかったんですけどね。
実際に働いてみて、俳優の仕事はほかの業界に比べて自由であるとは感じましたね。その中で当時から大切にしていたのは、出会いです。役と向き合ったり、台本を自分の中に落とし込んだりする作業は個人で行うものの、どの仕事でも同じように、仕事の中では必ず人と関わることになります。その出会いを良好に保つことができれば、仕事におけるストレスはほとんどなくなるんじゃないかと思っています。
人だけではなく、役との出会いも重要です。俳優を長く続けていくうえでは、良い役と出会う運が必要だと思っています。良い役というのは、「これは萩原が演じたから良かったよね」と言ってもらえるような役のことですね。作品においてどれだけ重要な役柄だったとしても、うまくハマっていないと感じられることもあります。それは自分が役と向き合えていなかったり、良い出会いではなかったりすることが原因です。
僕は、ありがたいことにそういった運に恵まれてきました。自分に、俳優としての才能があるとは思っていません。若い頃、自分の実力に自信を持っていたことはありますけどね(笑)。でも、自信と才能は別物です。どれだけ才能を持っていても、世間に認められず埋もれてしまっている人もいます。その中で、良い運に恵まれたことに感謝が尽きません。俳優は、ある程度の運がないとやっていけないんじゃないでしょうか。
50歳を超えて、演じる役柄にもどんどん変化が出てきました。この年になると、俳優業にも慣れてもっと楽に仕事をしていると想像していたんですけどね。いまだにずっとしんどいままです(笑)。自分がちゃんと役と向き合えているのか、果たすべきことを100%できているのかと悩み続けています。100%できたと思える日は一生来ないでしょうしね。でも、俳優をやめたいと思ったことは一度もありません。しんどいからこそ、飽きずに続けられているのかもしれません。
ただ、年齢を重ねるにつれてできないことも増えていきます。長いセリフを覚えられなくなるかもしれないし、走れなくなるかもしれない。それは抗えないことなので、劣化する部分があっても、別のところで進化していければ良いなと思っています。年齢によって何かを諦めるのではなく、できることを探していきたいですね。