B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
仲村さんは、仕事をしている最中に“楽しい”と感じることはほとんどないという。詳しく聞いてみると、仕事に対してだけではなく、全てに通じる仲村さんの楽しみ方への考えが浮かび上がってきた。
 
 

達成感を得るためには不安や恐怖が必要

 
僕が俳優の仕事を何十年も続けているのは、やっぱり楽しいから。でも、例えば舞台に出て演技をしているときに「楽しいなぁ!」と思うことはほとんどないんですよ。緊張していますし、「失敗したらどうしよう」という不安や恐怖もある。そういうのを乗り越えて、全てが終わったときに「楽しかったな」と感じることができるんです。
 
緊張もしなければ、不安も恐怖も感じない仕事には、達成感はないと考えているんですよ。達成感と一言で言っても、「舞台の千秋楽まで勤め上げた!」「こういう思いで演じたのを、監督が気付いてくれた!」など様々な種類があります。その全ては、緊張や不安、恐怖を乗り越えた先にあるんです。
 
だから、本番が終わるまでは、不安や恐怖を抱える弱い自分と戦っている気がします。演じているときに「今、僕は弱い自分と戦っている」という自覚はありませんけどね。その時間の自分を後で客観的に振り返ってみると、必死に戦っていたと感じるんですよ。
 
もちろん毎回勝てるわけではなくて、負けたなと思うこともあれば、自己採点をして「今回は及第点だな」と思うこともあります。舞台もテレビドラマも映画も、出演したからと言って、成功が約束されているわけではありません。でも、そういった不安定な場所にいるからこそ、後々「あれは楽しかったな」と感じることができるんです。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/スタイリスト 中川原寛<CaNN>/ヘアメイク
山口淳<EKYQ>)
 
 
 
仲村トオル(なかむら とおる)
1965年生まれ 東京都出身
 
20160101sp_78ex07.png

大学在学中に、映画『ビー・バップ・ハイスクール』のオーディションに合格しデビュー。同作品で日本アカデミー賞をはじめとする、数々の新人賞を受賞した。1986年からは、テレビドラマ『あぶない刑事』シリーズに出演し、人気を博す。その後も国内外問わず、数多くの映画やテレビドラマで活躍。2016年7月から、日本テレビ系列で放送中のドラマ『家売るオンナ』の情けない課長役で見せるコメディ・センスが話題に。舞台にもコンスタントに出演しており、前川知大作・演出の『奇ッ怪』シリーズには全作出演。最新作『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』は、10~11月に上演される。

 

 
 
20160101sp_78ex08.png
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』 
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/performances/20161031toono.html
原作 柳田国男
脚本・演出 前川知大
出演 仲村トオル 瀬戸康史 山内圭哉 池谷のぶえ 安井順平 浜田信也 安藤輪子 石山蓮華 銀粉蝶
チケット料金 S席\7500/A席\5500(一般)他
チケット発売日 2016年9月18日(日)
お問い合わせ

世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515
(10:00~19:00)

公演日程

東京公演 2016年10月31日(月)~11月20日(日)
会場 世田谷パブリックシアター

 

新潟公演 2016年11月23日(水・祝)
会場 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場

 

兵庫公演 2016年11月26日(土)・11月27日(日)
会場 兵庫県立芸術文化センター 「阪急中 ホール」

 

岩手公演 2016年11月30日(水)
会場 岩手県民会館 大ホール

 

仙台公園 2016年12月3日(土)・12月4日(日)
会場 イズミティ21 小ホール

 
(取材:2016年7月)