
インタビュアー 狩野恵輔(野球解説者)
前田 なかなか馴染みのない言葉かもしれませんね。障がいのあるお子さんが通われている保育所や幼稚園、学校などに専門の支援員が直接訪問し、集団生活になじめるようサポートしていく取り組みです。
狩野 なるほど。子どもたちが普段過ごしている居場所に直接訪問されるんですね。
前田 そうなんです。単に集団生活に適応させるだけでなく、子どもたち一人ひとりが本来持っている、“集団の中で、自分らしさを発揮し、自信を持って成長できる力”を育むことを大切にしています。具体的には、学校の先生と連携しながら、お子さん一人ひとりの特性に合わせた関わり方を見つけ、周りの友だちとの関係づくりを支援したり、集団での活動に参加できるよう促したりしています。
狩野 お話をうかがっていると、保育所等訪問支援の重要性がよくわかります。この事業を始めようと思われたきっかけが気になりますね。
前田 私はもともと特別支援学校や、放課後等デイサービスで子どもたちの成長を見守ってきました。学校では集団指導の中で一人ひとりのニーズに応えきれないジレンマを、放デイでは学校との連携不足によるもどかしさを感じていたんです。そうして学校、放デイ、そして家庭が連携し、子どもたちの成長を切れ目なくサポートできる仕組みが必要だと考えるようになりました。

前田 ええ。教育現場で先生方も日々、試行錯誤されています。ただ、障がいに関する専門的な知識や具体的な対応方法については、必ずしも十分ではないケースもあるんです。そこで、私たち支援員が先生方と一緒に考え、学び合いながらより良い支援方法を見つけるサポートを行っています。また、ご家庭での様子をうかがい、保護者の方と連携しながら、お子さんの特性に合わせた関わり方を一緒に考えていくことも大切にしているんです。私自身も認知科学に基づくコーチングを学び、現場で活かしています。