石黒　不動産仲介業の窓口と兼ねてシューズとインソールのショップを開店なさった経緯はわかりました。そこから生前整理にはどのようにつながるんでしょう？
 
髙橋　不動産仲介業の会社に勤めていた頃、お客様にご案内した新築の家の目の前に手入れのされていない空き家があり、それが怖いとのことでご契約に至りませんでした。そこで、その空き家について調べたところ、所有者の方のご家族とはご連絡がついたものの、肝心なご本人の所在がわからなかったんですよ。
 
石黒　最近では空き家が問題になっていて、支援制度やガイドラインが制定されつつありますよね。当時は、所有者が不明の場合の対処はまだ難しかったのでは？
 
髙橋　その通りです。行政に問い合わせても、外部の人間では何もできませんでした。もし所有者の方が亡くなった場合、空き家はご親族の方が管理を引き継ぐことになりますが、荒れ果てた空き家は引き継いで所有しているだけで、放っておいても固定資産税や都市計画税がかかり、大きな負担になってしまいます。そこで不動産だけでなく、そのほかの資産や持ち物をご存命のうちから整理し、ご遺族に負担を残さないようサポートをする生前整理の事業を手がけることにしました。
 
石黒　仲介業者としては近くの空き家によって契約を忌避される状況を解決でき、お客さんは家族に負担をかけないよう身の回りを整理でき、双方にとって嬉しいサービスですね。