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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

最大限の準備のもと
責任を持って仕事に臨む
俳優 中村ゆり

 
1998年、15歳のときにアイドルとして芸能界に入り、2003年からは俳優として活動をスタートした中村ゆりさん。5月10日に公開される、人気時代劇を映画化した劇場版『鬼平犯科帳 血闘』では、おまさ役として出演している。根強いファンのいる鬼平犯科帳において、おまさを演じることにプレッシャーもあったという中村さん。大事にしたのは、自身の解釈で役柄を組み立てていくことだと話してくれた。劇場版『鬼平犯科帳 血闘』のお話を通じて、中村さんの仕事の楽しみ方に迫った。
 

細かい感情まで掘り下げる

 
私はいつも、仕事に対して前のめりになり過ぎないようにしているんです。作品の重みなどを考え出してしまうと、いらぬプレッシャーを感じてしまいますからね。一つひとつの作品に、すべて同じ気持ちで取り組むようにしています。ただ、「鬼平犯科帳」は多くのファンがいる時代劇です。おまさ役を演じると発表があってからは、いろんな方と会うたびに「おまさやるんだね!」と声をかけていただいて、必然とプレッシャーがのしかかってきました。
 
おまささんは、これまで野際陽子さんなど素晴らしい俳優さんたちが演じられてきた役柄です。その中でも、私が一から自分の解釈でおまささんを組み立てることが大事だと考えました。今後もドラマシリーズが続いていくにあたり、私だからこそ演じられるおまささんを模索している最中ですね。
 
おまささんは、生まれた環境は決して恵まれておらず、選択肢がほぼない人生を歩んできました。裏稼業に入らざるをえなかったものの、その中でも自分の尊厳を守りながら自分の力で道を切り拓いてきた芯の強い女性だと思っています。ですので、おまささんがどのように生きてきたのかという背景を、自分の中でしっかりと組み立てなければいけないんです。
 
劇場版『鬼平犯科帳 血闘』においては、おまささんがどのような気持ちでさまざまな選択をしているのかを表現できるよう心がけました。映画の冒頭では、松本幸四郎さんが演じる長谷川平蔵さんに「密偵になりたい」と申し出ます。それは、おまささんなりの美学だと思うんですよ。今の時代ではなかなか想像できない、「命を懸けてでも誰かのためになりたい」という生きる美学を持っていたのだと思います。ポーカーフェイスでミステリアスな部分が多いおまささんだからこそ、細かい感情までしっかりと掘り下げるようにしました。
 
演じていて楽しかったのは、おまささんが少し口調が悪くなったり、フランクな態度になったりするシーンです。特に、志田未来さんの演じるおりんさんとのシーンは楽しかったです。おりんさんは、かつてのおまささんと同じく、盗賊を敷地内に引き入れる「引き込み女」をやっています。そんな同じ境遇にいる、おりんさんとのシーンは印象に残っていますね。
 
 
 
 
 

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