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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
撮影現場において、チームでのものづくりが楽しいと話してくれた江口さん。お話の中から、仕事を楽しむヒントを探った。
 
 

自分を磨き続ける

 
撮影はアナログな作業だと思います。演技や演出に、明確な正解はありません。そんな中、試行錯誤をしながら撮影を繰り返し、イメージする正解に近づけていく。そうしている中で、現場にいる全員が「うまく決まった」と感じることが、たまにあります。その感覚を味わったときは、本当に嬉しくなりますね。また、完成して音楽がついた状態で作品を観ると「こんな風になるのか!」と思う楽しみもある。信頼関係を築いた仲間たちと、一つの作品をつくり上げることに楽しみを感じています。
 
僕が10代の頃に俳優の世界に飛び込んだとき、周りの大人たちはまるで子どものように好奇心のまま映画をつくっていました。現場では一生懸命に仕事に取り組み、終わったらどんちゃん騒ぎをする(笑)。みなさん生き生きとしていましたし、仕事が好きで打ち込んでいることが伝わってくるんです。その様子を見て、「こういう風に年を取りたい」と感じましたね。
 
俳優の仕事を始めてすでに30年以上経った今、自分がそうした大人になれているのかと考えると、まだまだだと感じます。この年になると、もう少し落ち着いて仕事をしていると思っていたんですけどね(笑)。まだ落ち着けません。今年の3月には、当時88歳のクリント・イーストウッド氏が監督・主演を務める映画『運び屋』が公開されています。あれだけの熱量がある作品を観ると、僕も触発されますね。自分ももっとやれるはずだと。そうした気持ちは、きっと永遠に続いていくのだと思います。
 
子どもの頃、映画を観ると「こんな世界があるのか」「日常じゃ見れないものを観てしまったな」と感じていました。それだけ感銘を受けていたんです。僕も同じように、そんな世界を見せられる俳優になりたい。観てくださる方が、納得できるものをつくらなければいけないし、その期待以上の表現ができる俳優でいたいですね。
 
そのためには、自分を磨き続けるしかありません。自分の感覚が独りよがりのものにならないように注意しながら、得た経験を役に投入していきたいと思っています。これからの50代は、これまでの僕のイメージに関わらずどんな役柄にもチャレンジしたいですね。そういう意気込みで駆け抜けたいと思います。
 
<インタビュー・文 中野夢菜/写真 内田大介>
 
 
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江口洋介(えぐち ようすけ)
1968年生まれ 東京都出身
 
1987年、映画『湘南爆走族』でデビュー。テレビドラマ『ひとつ屋根の下』や『101回目のプロポーズ』など多くの人気作に出演し、人気を博した。1988年にはシングル『ガラスのバレイ』でシンガーソングライターとしてもデビュー。ドラマ『コンフィデンスマンJP』や『ストロベリーナイト・サーガ』など第一線での活躍を続けている。
 
 
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映画『コンフィデンスマンJP』公式サイト
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(取材:2019年5月)