ストーリーの中で、さまざまなキャラクターとの接点を持つ原島万二。「すべてのボールを受け止めた」と語る及川さんに、演じる中で、特に印象的だったシーンを聞いた。
現場の空気が芝居に強い影響を及ぼす
やっぱり、香川さん演じる北川部長に怒鳴られるシーンが一番印象的だったかもしれませんね。セリフを言わせてもらえないくらいの迫力で怒鳴られて、心もボキボキと折られてしまう。そんな北川部長というキャラクターに、素直にリアクションすることができました。自分でも、お芝居なのかそうじゃなかったのか曖昧に感じたくらい、痛めつけられましたよ(笑)。
「こういう芝居をしよう」と計算していない部分で、ナチュラルな表情が生まれたと思うので、ご覧になった際には注目してみてほしいですね。そうした撮影ができたのも、現場の空気ができあがっていたからです。福澤克雄監督の現場は、本当に“熱い”。そういう現場の空気というのは、お芝居に強い影響を及ぼしますから。
福澤監督の現場は、スタッフやキャストの参加意識が高いんです。全員が「いいものをつくろう」と全力で取り組んでいることがわかります。というより、自然と全力を出しているという感じでしょうか。スタッフもキャストも、“妥協”という言葉を知らないんですよ。
「より良いものを撮るために努力しよう」「何度でもやろう」というムードが、最初からできあがっているんです。それは、福澤監督の統率力があってこそ。以前、テレビドラマでもご一緒させていただいたことがありますが、今回はそのときよりも、さらに包容力を感じました。福澤監督の前では言えませんが、より大きくなられたなぁ、と(笑)。
社会に出て働いている方が『七つの会議』をご覧になると、必ずどこかで心に響くシーンがあると思います。この映画に込められたメッセージを、どうか劇場から持ち帰ってほしいですね。他人と100%わかり合えることは、100%あり得ません。そういう社会の中で、何を大切にして生きていくのか、考えさせられる映画だと思います。『七つの会議』には、思わず社会に失望してしまうようなシーンもあります。でも僕は、その中から“勇気のかけら”をもらえたような気がするんです。