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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
宇津木さんは2016年にアメリカのプロリーグ・NWSLに所属する、シアトル・レインFCに移籍した。アメリカでの生活にも、大きな学びがあるという。
 
 

先輩たちの偉大さを実感した

 
アメリカの選手たちは、オンザピッチ、オフザピッチを問わず個性が強い人たちばかりですね。サッカーがうまい下手という以前に、自分自身の人としての魅力を発揮しようという気持ちが伝わってくるんです。3くらいのものを、10にでも100にでもしてしまえる。プレー以外の場でも学ぶことは多いですよ。彼女たちを見ていると、自分自身を上手にプロデュースできない自分が情けなく感じることもあります(笑)。日本人にはそういったことが苦手な人が多いかもしれませんね。
 
そうして海外での経験を積む中で、特に移籍したばかりの頃は日本代表に選出された際に、日本での感情の表現方法やスタイルに違和感を覚えることもありました。それは私が海外で学んだスタイルを、まだ“自分のもの”にできていなかったことはもちろん、そのタイミングで先輩方が引退してしまったことが大きかったですね。
 
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それまでは先輩方の器の広さと、経験値の高さでカバーしていただいていたことが本当に多かったです。何かマイナスなプレーをしてしまったときには、「自分で取り返しな!」と叱咤してくれたので、それに背中を押されて自然とボールを追えていました。自分のミスは自分で取り返すんだという、悔しさを表現できる環境をつくってくれていたんですよ。
 
いざ、そういう存在がいなくなったときに、自分自身でスイッチを切り替えてプレーすることの難しさを知りました。あらためて先輩方の偉大さを実感しましたね。先輩方のチームメイトとしてプレーできたのは、とても大きな経験です。年下の選手が増えてきたことで、そう思うことが増えました。それに、何より「良いパフォーマンスを発揮するのに年齢は関係ない」と学びました。
 
私は、先輩方が年齢に関係なくタフな試合を続けているのを間近で見て、「サッカーと向き合うとは、こういうことなんだな」とわかりました。現在は、後輩の選手たちにとって私がそういった存在になれるよう、自分発信でスイッチの切り替えを行ったり、チームメイトに声をかけたりしています。どこまで強く言っていいのかなどの判断は、まだまだ難しいですけどね(笑)。
 
移籍などで何度も新しい環境に飛び込んでいる宇津木さん。そういった場での心の持ちようについて、アドバイスをいただいた。
 
 

自分で居場所を決める

 
私も“居場所”に関してよく悩むことがあります。新しい環境だと、信頼関係を築くのには時間がかかりますよね。自分の実力を求めてもらって、それに応えたいと思うのですが、求めてもらうのにもある程度の信頼関係が必要になるんです。そんなとき、「求められていないから、居場所がない」と感じることもあります。これはきっと、サッカー選手でも会社員の方でも同じではないでしょうか。
 
お互いに信頼関係が築けるまで、「求められているのかな、求められていないのかな」という考えに振り回されていては、苦しいし、焦ってしまいますよね。だから、自分で「ここが私の居場所じゃん」と思うようにしています。少しでもそう思えることができたら、気持ちが楽になるんじゃないかな。
 
もちろん、私の力が必要とされたときに、それに応えられるよう常に備えています。求められ続けるというのは、スポーツ選手として大きな喜びですし、それに応えられるよう研鑽を積むことが、私が現役を続けるうえでのモチベーションになっているんです。