『蝶の眠り』でメガホンをとったのは、韓国のチョン・ジェウン監督。中山さんは撮影の最初の頃、日本でのやり方との違いに戸惑ったという。「みんなで試行錯誤した分、自分たちの“手づくり”の作品だという気持ちが強い」と語ってくれた。
全員で積み重ねてつくり上げた作品
私は役づくりのときに、普段から自宅で衣装を着てしまうくらいその役に入り込むこともあれば、逆に客観的に役を理解して、常に自分を俯瞰的に見るように意識して演じる場合もあります。作品によって、役づくりの方法を変えているんです。今回は、ちょうどその中間くらい。現場での動きに高いチームプレーが求められた今回の撮影では、そういった役との距離の置き方がちょうど良かったのだと思います。
国が違うと、撮影1つ取ってもやり方が違います。それに戸惑いもあり、撮影当初は、なかなか良いチームワークを発揮できていませんでした。でも、全員が試行錯誤したことで、結果的に良いチームをつくり上げることができましたね。
私も、出演者というよりは、あくまでスタッフの一員として撮影に臨んでいました。文化の違いも、みんなで1つずつ手探りしながら共通の認識を積み上げていったんです。手づくりでつくり上げたという実感の大きい作品となりました。
『蝶の眠り』は、性別や年代を問わず多くの方に観ていただきたい作品です。観終わった後は、きっと何か感じること、考えることがあると思いますよ。また、自分の人生についてあらためて考えている方にとっては、特に響くものがあるかもしれませんね。年代によって、この作品から受け取るメッセージが変わってくるのではないでしょうか。
また、作品内で描かれている雰囲気や、風景の美しさも魅力の1つです。涼子が住んでいるお家でのシーンは、建築家の阿部勤さんのご自宅で撮影していて、とても素敵ですよ! ぜひ、そういった情景にも注目しながら楽しんでもらいたいですね。