B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
引退後、セカンドキャリアを歩み始めた鈴木さん。2015年10月、引退の少し前に、自身がCEOを務めるAuB株式会社を創業した。同社では、所属する研究者らが腸内フローラ解析事業を行っている。腸内フローラとは、腸内に生きている様々な種類の細菌の生態系のことだ。その菌種は100種類以上とも言われ、それらが人間の健康に大きな影響を与えることが明らかになってきているという。  
 
 

健康にイノベーションを!

 
現在は解説者などサッカーに関わる仕事の他、AuBの運営にも力を入れています。僕はサッカーにたくさんのことを教わってきましたから、サッカー、広く言えばスポーツ界に何か恩返しがしたいとずっと考えていました。そこで、アスリートが少しでも長く現役生活を送り、活躍し続けられるようなサポートができないかと思ったんです。自分がお金を儲けるのではなく、スポーツ界、ひいては社会全体に還元できるような仕事をする――。それが腸内フローラの解析事業を始めたきっかけでした。
 
僕自身が現役時代に、自分の内臓など目に見えない部分の調子がパフォーマンスに影響すると感じていたんです。でも、サッカー選手は血液や尿の検査はしても、腸内細菌の検査まではしません。あるとき、腸内の研究をしている方と知り合う機会があってお話をしてみると、健康な生活を送るには腸内環境が非常に重要で、その鍵を握るのが腸内細菌ということでした。でも、まだ解明されていないことが多いとおっしゃるので、「それならアスリートの菌を解析してみてはどうだろう」という話になったんですよ。
 
これまでの腸内細菌の研究は、何らかの疾患のある方と健康体の方の細菌という、2つのクラスターを対象に解析をしていました。それらに加えて、日々トレーニングをして、健康を管理しているアスリートの腸内細菌を解析すれば、大いに参考になるのではないか――。実際、アスリートの腸内細菌を解析してみると、目立った動きをする菌種が多いことがわかっています。そうした細菌を詳細に調べれば、人がより健康に生きるために必要な何かがわかるかもしれません。
 
細菌の働きが解明されていくことで、その特徴を踏まえ、アスリートにとって必要な食材や効率的なトレーニング方法が見つかる可能性もあります。そうやって、アスリートが長く現役で活躍することを助ける指標のようなものを当社の事業で提供できれば、スポーツ界の貢献につながるはず。さらに、その手法を一般の方々にも還元できれば、社会貢献にもなるかもしれない。
 
僕は現役時代、扁桃炎や不整脈に苦しめられたことがありますので、日々健康でいられることの素晴らしさを、身に染みて感じています。誰もが健康で長生きできる世の中になるため、皆さんの健康意識にイノベーションを起こせたらいいですよね。
 
そんなわけで、経営者としての僕の目標は、自社のサービスを利用したアスリートたちに大舞台で活躍してもらって、ファンの皆さんに喜んでもらえるようサポートをすること。例えばサッカー選手をサポートするとしたら、ワールドカップの舞台で活躍してもらい、その姿を僕はスタジアムで応援したい。そんな最高の日を想像しながら、これからも目標の実現に向かって力を尽くします!
 
 
(インタビュー・文 佐藤学 /写真 Nori/スタイリスト 立山功)
 
 
<ジャケットスタイル>
     ジャケット、カットソー、パンツ(全て CIRCOLO 1901)、ジレ(L.B.M.1911)
/ 以上全て TOYODA TRADING PRESS ROOM
    バングル(On the Sunny Side of the Street)/ S.O.S fp 恵比寿本店
    その他 スタイリスト私物

<シャツスタイル>
    シャツ(Giannetto)、パンツ(Santaniello)
/ 以上全て TOYODA TRADING PRESS ROOM
ブレスレット(M.Cohen)/ S.O.S fp 恵比寿本店
    その他 スタイリスト私物

*問い合わせ先
    TOYODA TRADING PRESS ROOM TEL 03-5350-5567
    S.O.S fp 恵比寿本店 TEL 03-3461-4875
 
 
 
20160201sp_79ex05.png
鈴木啓太(すずき けいた)
1981年生まれ 静岡県出身
 

サッカーの盛んな静岡県清水市で生まれ、幼い頃からプロ選手になることを目指す。2000年に東海大翔洋高から浦和レッドダイヤモンズに加入。2001年にJリーグ初出場を果たすと、抜群のスタミナと危機察知能力を駆使し、ボランチでレギュラーに定着。チームの中心選手として2006年のJ1リーグ年間優勝、2007年のAFCチャンピオンズリーグ制覇に貢献した。ベストイレブンにも2度輝くなど、16年間、浦和一筋でプレー。日本代表では国際Aマッチ通算28試合に出場。イビチャ・オシム監督から高い評価受け、同監督が指揮を執った期間、唯一全試合にスタメンで出場している。現在はサッカー関係の仕事の他、自ら立ち上げたAuB株式会社のCEOとして、腸内フローラ解析事業にも力を入れている。

 

ブログ
http://ameblo.jp/suzuki-keita-blog/

インスタグラム
https://www.instagram.com/keita.suzuki.official/

AuB株式会社
http://aub.co.jp/

 
(取材:2016年4月)