自分が夢中になれることは
幼い頃の遊びに隠されている
写真家の宮澤正明さんは女優やタレントを撮影した写真集を150冊以上も出版している他、日本で数少ない、三重県の伊勢神宮の写真が撮影できる写真家としても知られている。広告やグラビアなど商業的な撮影と、作家性が強く反映されるアーティスティックな作品づくりの双方で実績を出してきた宮澤さん。インタビューでは「幼い頃、好きなことに夢中になっていたのと同じような気持ちで仕事ができると楽しい」と語ってくれた。
自分が夢中になれたことを思い出そう
「趣味がない、自分の好きなことがわからない」と悩んでいる人ってけっこう多いですよね。そういう人は自分が幼かった頃、何に夢中になっていたかを思い出してみるのがいいと思います。昆虫採集であったり、絵を描くことであったり、人によってそれぞれでしょうけど、時間を忘れてのめり込んでいたことが必ずあると思うんです。
幼い頃と同じようなピュアな気持ちで、ワクワク、ドキドキしながら仕事ができたら、毎日をとても楽しく過ごせるはず。会社組織に所属している人は、「これは自分のやりたいことではない」「今の社会だと、こういうことしかできない」などと不満に感じることがたくさんあると思います。確かに、ルールに縛られて思い通りにならないことはあるでしょうけど、それを全て会社や社会のせいにしていても、仕方がない。
それよりも自分の過去を振り返って、現在や未来を考えるためのヒントを得るといいですよ。子どもの頃は親に強制されたからでもなく、友だちの間で流行っていたからでもなく、自分自身が心の底からやりたいと思ったことを自分で選び、夢中になって遊んでいた時間がありましたよね? 少しだけ時間をつくって、その時のことを思い出してみればいいんです。そうすれば、自分が楽しめる道が見つかるんじゃないでしょうか。僕自身はいろいろな縁や運もあって、そういう楽しい気持ちで今も仕事ができています。
僕は幼い頃、絵を描くのが大好きでしたね。あとは映画。カメラを触り始めるのは10代も後半になってからだった。就職先は、手に職をつけることを考えました。それで、絵や映像が好きだったから、そっち方面の職業を選べばいいんじゃないかと思ったんです。その中で、やりたいことを絞り込んでいった結果、たった一瞬の、二度とない瞬間を切り取ることのできる、写真の世界が自分に向いていると思いました。