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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

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上原氏はシーズン中だけでなくオフの時も絶えず、仕事である“野球”のことを考えて生活をしているのだ。プロとして当然のこととはいえ、その姿勢を貫くのは決して簡単ではない。「世界一はゴールではない」と語る上原氏は今、何を思うのか。
 
 

何も変えずに、一つひとつ積み重ねるだけ

 
 ワールドシリーズで優勝して、自分が何を得ることができたかというのは、正直なところまだわからないですね。昨シーズンは、各シリーズで優勝を決めるアウトを全て三振で取ったとか、メジャーのポストシーズン最多タイのセーブ記録とか、自分でも全く想像もしてなかったことが実現できたので、漫画の中のような出来事だったなって思います。
 
 ただ、それが実現できたのは毎日の積み重ねがあったから。これは間違いない。出番が来た時に万全な形でピッチングできるように身体のケアを怠らず、練習でも日常生活でも、しっかりと試合に向けた準備をする。そのやり方だけはポストシーズンでもワールドシリーズでも、何も変えなかった。シーズン中はかなり辛いこともありましたけど、それでもやり切った。だからこそ、結果が出せたんだと思います。プライベートも含め、皆さんに祝福してもらいながら過ごす、充実したオフになったのも結果が出たからこそ。だって、不本意に終わったシーズンは、オフの間も心から楽しめないですから。
 
 もし、「完璧なプレーができた」と言えることがあったとしたら、それは引退する時くらいじゃないかな。というのも、ぼくは完璧を求めていないんです。完璧というのは防御率でいうと0.00とかそういう世界でしょ。だから、一本でもヒットを打たれたらダメ。そういうことよりもチームが勝てばいい。それが一番大事なことです。
 

 仮に完璧なプレーをした時がぼくのゴールだとすると、その道の途中にたまたま世界一という結果があっただけ。登山でたとえるなら、10合目にたどり着いたわけじゃない。まだまだ課題がある。だからこれからも、一歩一歩、頂上を目指して登り続けます。その歩みの中でもう一度、ワールドシリーズで優勝したい。そして、そのための戦いはすでに始まっているんです。怪我のないシーズンを過ごせるよう頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします!

 
 
 
 (インタビュー 泉貴子/文 佐藤学 /写真 Nori/スタイリスト 藤澤まさみ)
 
 
 
上原浩治 (うえはら こうじ)
 
1975年生まれ。大阪府出身
 
東海大仰星高校、大阪体育大学を経て1998年に読売巨人軍に入団。沢村賞など多数のタイトルを獲得する。2009年、メジャーリーグのボルティモア・オリオールズに移籍。2011年にはテキサス・レンジャーズでリーグ優勝に貢献した。2013年はボストン・レッドソックスでクローザーとして大活躍。ワールドシリーズ優勝に貢献し、日本人初の胴上げ投手となった。
 
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オフィシャルサイト
 
公式Twitter
 
上原浩治のTrust Pitch!(コラム)
 
 
(この情報は2014年3月1日現在のものです)
 
 
 
 

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