◆1847年より暖簾を守る
日本唯一の金平糖専門店
1847年、京都で創業。日本唯一の金平糖専門店「緑寿庵清水」
素朴で優しい甘みはどこか懐かしく、星粒のような形が可愛らしい金平糖(コンペイトウ)。その語源はポルトガル語の「confeito(コンフェイト)」であり、1546年にポルトガルよりもたらされたと言われています。その美しい見た目と味わいは、瞬く間に多くの人を魅了しました。しかし、今でこそ“昔ながらの砂糖菓子”として世代を問わず親しまれていますが、日本に伝来した当初は貴重な品であり、製造方法は秘密のヴェールに包まれていたのです。その後、技術は長崎や京都、江戸・・・と全国に広まったものの、現在、手づくりの金平糖にはなかなかお目にかかれません。というのも、製造には高度な職人技を必要とするうえ、直径1.5㎝ほどの粒になるまで、なんと1種類に約2週間もかかるのだとか。
しかし、今なお伝統の製法を一子相伝で受け継ぎながら、困難とされている“風味のある金平糖”を手がけている店が京都にあります。1847年創業の「緑寿庵清水」――老舗でありながら、金平糖の歴史に革命を起こした、日本唯一の金平糖専門店です。現在は、果実の味わい豊かな苺や林檎といった通年のものから、桜、すいか、焼栗など季節限定、さらには「究極の金平糖」まで、味のバリエーションは約60種類を数えます。京都の土産物として、季節の贈り物として、知る人ぞ知る逸品・緑寿庵清水の金平糖。小さな粒に込められた、歴史と職人の技をお教えしましょう。
◆コテ入れ10年、蜜かけ10年
受け継がれる職人の技術
人気の金平糖を繊細なガラスの器に入れた「エトワール」
金平糖の特徴というと、なんといっても無数の突起がついた独特の形。しかし、この突起がなぜできるのか長い間謎だったこともあり、もしかしたら、あの形をただのデザインだと思っている人も多いのではないでしょうか。金平糖の小さな突起は、製造の工程で生まれるものなのです。
金平糖は、核となる“イラ粉”を大きな釜の中で転がしながら、蜜をかけては乾かす・・・を何日も繰り返すことで成長していきます。この時、釜に触れた部分の蜜が乾いて少し固くなり、わずかに出っ張るため、その箇所に蜜がつきやすくなって突起が少しずつ大きくなるのだそう。さらに、傾斜し回転する釜の中を、金平糖が転がることで突起が全面にできるという仕組みなのです。
高級風趣献上品の一つ。こちらの品は、京情緒を感じさせる清水焼の引き出しに6種類の金平糖が入った「華やか」。おもてなしの菓子としても、ぜひ
玉あられを核として、甘さを抑えて上品な味わいに仕上げた茶道専用金平糖は、抹茶の風味を一層引き立てる。こちらは季節限定桐箱三種入
夏場は50℃以上にもなる工房内で、日々金平糖づくりに励んでいる
実は、伝統ある緑寿庵清水の金平糖でさえ、決まったレシピはありません。なぜなら、その日の気温や天候によって、蜜の濃度、釜の角度や温度も全て変わってしまうから。釜で転がる金平糖の音を聞きながら状態を見極め、五感を使いながら体で覚えていく・・・まさに一子相伝の職人技。基本である砂糖の金平糖でも、技術の習得は「コテ入れ10年、蜜かけ10年」と言われ、実に20年もの歳月がかかります。小さな金平糖の一粒ひと粒が、長年受け継がれてきた職人の技術の集大成といっても過言ではないかもしれません。
◆伝統を守りながら
新しい道を切り拓く
素材の食感と風味が生きた「角平糖(柚子・さつま芋)」
通常、砂糖に他の素材を加えると酸や油分、塩分が混ざり、結晶しないと言われてきました。そのため、風味のある金平糖をつくるのは非常に困難とされていましたが、常識を覆し、緑寿庵清水は風味豊かな金平糖をつくりだしました。三代目・清水勇氏の代から少しずつ肉桂、濃茶などの金平糖を手がけ、その後四代目・清水誠一氏の代で様々な素材をつかった金平糖づくりは本格化。五代目・
その種類を増やしてきたのです。例えば同じ素材でも、酸味が多い時や少ない時もあり、果物となれば毎年の出来具合も違うため、挑戦は易しいものではありませんでした。新しい種類の金平糖を1つ完成させるには、2年以上かかったといいます。
緑寿庵清水の飽くなき挑戦により、金平糖で季節感も楽しめるようになりました。また、高温の釜の中では溶けて分離してしまうチョコレートや、熱を加えるとアルコールが飛んでしまうワインやブランデー、梅酒の風味をそのまま活かした「究極の金平糖」も誕生し、毎年それぞれ発売時期にはキャンセル待ちが出るほどの人気を博しています。これまで砂糖味が基本であった金平糖に、緑寿庵清水は革命を起こしたのです。これも、大切に受け継がれた確かな技術と、熟練の職人の勘やアイデアがあったからこそ。今後も、この姿勢は変わることなく、金平糖の新たな時代を切り拓いてくれることでしょう。緑寿庵清水の、風味豊かな金平糖。金平糖の長い歴史を変えた逸品を、ぜひ一度味わってみてください。
6月の父の日好適品。「究極のブランデーの金平糖」は早めの予約が吉
最高級の大豆を核にした京都伝統の味。「究極の宝来豆の金平糖」
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緑寿庵清水
〒606-8301 京都市左京区吉田泉殿町38-2
TEL 075-771-0755075-771-0755
定休日 水曜・第4火曜(祝日の場合は営業)
営業 10:00~17:00
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(この情報は2014年11月1日現在のものです)